読後感:
舞台が秩父ということで一度両神山に行ったことが思い出され、改めて秩父がド田舎と表現されているんだなあと垣間見る想いであった。
でも、方言が発せられる定年2年前の坂森刑事の人柄、なかなか繋がりの見えないバラバラ殺人事件が続く描写の中に引き込まれて、読み進んでしまう作品はなかなかおもしろい。
朽ち果てた山奥の集落に一人暮らし続けている老人の言葉もいける。
そんなことを感じながら解説を読んでみて、やっぱりこの著者、評価がいいことにやっぱりなあと自分の感力にうんうん。
繋がりが出てくるラストは伏せておくとして登場人物の個性もなかなかおもしろく作品にふくらみを持たせているのかいい。
印象に残る言葉:
ひとり山奥の古びた集落に一人済んでいる老人の発する言葉:
「人間なんざ一人で生きるのは、誰だって、みんな寂しいもんだがね。だけんど逆に、その寂しさが我慢できりゃあ、ほかのことはなんでも我慢できる。貧乏も病気も歳をとることも死んでいくことも、生きてる寂しささえ我慢できりゃあ、人間てえのは、はあ何でも我慢できるべえよ」
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