物語の概要:(本書の裏表紙に記載の文章より抜粋)
君にもこの光は届いているか―。光の演奏―“光楽”―を通じて、子供たちにメッセージの発信をはじめた天才高校生・光瑠。その目的を探ろうと、大人たちの魔手が忍び寄るが…。実力派が放つ、傑作ファンタスティック・ミステリー。
読後感:
何となく光瑠の光楽をかなでる演奏によって若者の心を引きつける宗祖のごとき人物かと思いきや、行動や言動は物わかりの良いそれでいて先を見通せる人間のよう。
演奏にはじめの頃に接していた小塚輝美、相馬功一、志野政志にも能力が備わってくる段になってそれに敵対する勢力の存在が明らかになってくる。
東野圭吾作品の特徴的描写方法がこの作品でも見られる。次々に登場人物の行動が展開する中で、次第に収斂していく手法は「ユニット方式」と言われるらしい。(解説の井上夢人より)
家庭内でのトラブル、子どもの扱いに戸惑う親の姿、高校中退の子どもと現代の姿も映しながらそれらの問題点も投げかけている。
途中光瑠の親衛隊である相馬功一が大津聖子と仲良くなっていく中、木津玲子の言動がおやと思えてくる。また佐分利の高級マンションに住み、光瑠を保護している陽にも見える人物も謎で・・・。
小塚輝美が次第に様相を変化させていくのも惹かれる。
それが果たしてどんな風に収斂していくのか。ファンタスティックなミステリーと言える小説である。
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