初出 1996年6月、講談社ノベルとして刊行。 本書 1997年(平成21年)7月刊行。
東野圭吾:(「悪意」本書より)
1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤務の傍ら、ミステリーを執筆。1985年「放課後」(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年「秘密」(文春文庫)で第52回に日本推理作家協会賞、2006年「容疑者χの献身」(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年「ナミヤ雑貨店の奇跡」(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年「夢幻花」(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年「祈りの幕が下りる時」(講談社)で第48回吉川英治文学賞を受賞。他の著書に「加賀シリーズ」の「新参者」や「麒麟の翼」(ともに講談社文庫)など多数。
主な登場人物:
かって野々口が教鞭を執っていた中学に社会科の新任教師として赴任してきた。2年で辞め、刑事に。日高が殺された現場で10年ぶりに野々口に再会。 ・迫田警部 ・牧村刑事
日高邦彦 妻 理恵
人気作家。カナダバンクーバーに引っ越す間際。 ・理恵 1ヶ月前に結婚。以前出版社に勤務、それがキッカケで日高と出会う。
練馬署刑事、巡査部長。 ・山辺係長
和泉康正 妹 園子
愛知県警豊橋署交通課勤務の刑事。両親は亡くなり妹との二人だけ。 ・妹の園子は電子部品メーカーの東京支社の販売部勤務。人付き合いは良くない。
父親は大手出版会社の社長の息子、長男。路上で絵を広げているところで園子と知り合い、付き合い出す。 デザイン事務所”計画美術”でアルバイトしていたが、4月から出版社勤務。
物語の概要:(図書館の紹介記事より。)
『どちらが彼女を殺した』 自殺の偽装を施され最愛の妹を殺害された愛知県警豊橋署に勤務する和泉康正は、“現場検証”の結果、二人の容疑者を割り出す。ひとりは妹の親友。もうひとりはかつての恋人。康正は“復讐”のために懸命に真犯人に肉迫するが、その前に練馬署の加賀刑事が立ちはだかる。二人の警察官の“推理の攻防”の結末やいかに。
この頃の作品としての加賀恭一郎は特に「新参者」の時代の加賀恭一郎の印象が強いので人格というか人間というかが一致しない印象を受ける。もっとも10年位後ということで変化は当然かもしれない。 本書の後ろにある解説に桐野夏生が記している「本書が人間の底知れぬ悪意を描きながらも、いつの間にか「記録」することにとらわれて封じ込められた男の悲劇、と読めなくもない」とのコメントは野々口が事件を「記録」しておこうと手記を書き始めたことで「記録」と言う着眼点で捉えているのが面白い。 余談2:
作品の中に出てくる刑事で特に関心を持っていて好きな人物は高村薫作品の合田雄一郎と、対極にあるのが東野圭吾作品の加賀恭一郎である。まだ読んでない作品もあったので今回は加賀恭一郎の出てくる作品をリストしておこうと思う。 ・第一の事件 卒業 ・第2の事件 眠りの森 ・第3の事件 悪意 ・第4の事件 どちらが彼女を殺した ・第5の事件 私が彼を殺した ・第6の事件 嘘をもうひとつだけ ・第7の事件 赤い指 ・第8の事件 新参者 ・第9の事件 麒麟の翼 ・第10の事件 祈りの幕が下りる時