東野圭吾著 『赤い指』






             2011-04-25


 
 (作品は、東野圭吾著 『赤い指』 講談社による。)



             
   

初出:

 初出 「小説現代」1999年12月号に掲載された「赤い指」をもとに書き下ろしされたもの。
 本書 2006年(平成 年)7月刊行

 
東野圭吾 (ひがしのけいご):
 1958年大阪生まれ。1985年「放課後」で第31回江戸川乱歩賞を受賞し、作家デビュー。 1999年「秘密」で第52回推理作家協会賞受賞。

主な登場人物:

加賀恭一郎
父 加賀隆正

練馬署の刑事。
母親は20年前に小学生の恭一郎を置いて家出、仙台で一人暮らしていて5,6年前になくなっている。父の隆正との親子関係は自然ではない。
隆正は元警察官。末期癌で入院している。

松宮脩平
母親 克子
(隆正の妹)

捜査一課の刑事。銀杏公園殺人事件で所轄の加賀刑事と組むことになりその洞察力に感心する。加賀隆正には実の親のように接している。

前原昭夫
妻 八重子
息子 直巳
昭夫の母 政恵
昭夫の父 章一郎

昭夫夫婦は最初は両親と別居していたが、父親が亡くなり、実家に同居するようになるが、嫁と姑の仲はうまくいかない。
ある日八重子が女の子の死体を発見したことから、その始末でとんでもない方向に・・・。

田島春美 前原昭夫の妹。八重子と姑の政恵との折り合いが悪いため、介護の面倒を見に前原家に毎日のように訪ねている。

物語の概要

「この家には、隠されている真実がある。それはこの家の中で、彼ら自身によって明かされなければならない」。犯罪を超えたその先に、本当の闇がある。2日間の悪夢と、孤独な愛情の物語。直木賞受賞後第1作。

読後感
 

 テレビのドラマで見て、加賀恭一郎なる刑事のイメージが何故かその役の阿部寛と重なり合って拭いきれない感じ。
 でも、その心情は小説を読むと作者の言いたいだろうこととも重なって心情としてよく分かる。 また息子を守ろうとする母親、そしてその心情を理解できる前原家の父親である昭夫の心情もよく分かり、まずいと判っていてもこんな行動に出てしまうかも知れないことをとがめることは出来ないかも。

 それにしても加賀という人物の思いやりを内面に秘めてことに当たっていく姿は清々しい思いである。 東野圭吾作品の原点がここにもある。

 

  

余談:

 加賀(所轄の刑事)が相棒(警視庁捜査一課の刑事)に対しての「刑事というのは真相を解明すればいいというものではない。いつ解明するか、どのように解明するかということも大切なんだ」「この家には隠されている真実がある。それは警察の取調室で強引に引き出されるべきことじゃない。この家の中で、彼ら自身によって明かされなければならない」という描写があるが、はてドラマでこういう発言はあったかなあと。ちょっと口に出して言うには抵抗がありそう。やはり書き物ゆえの読み手に響く表現ではなかろうか。

 

 背景画は、いかにもありそうな公園のトイレ風景。

                    

                          

戻る