早見和真 『店長がバカすぎて』



              2022-06-25


(作品は、早見和真著 『店長がバカすぎて』(ハルキ文庫) 角川春樹事務所による。)
                  
          

  初出 2019年7月単行本として刊行。
  
本書 2021年(令和3年)8月刊行。

 早見和真
(はやみ・かずま)(本書による)

 1977年、神奈川県生まれ。2008年「ひゃくはち」でデビュー。同作は映画化、コミック化されベストセラーになる。14年「ぼくたちの家族」が映画化、15年「イノセント・デイズ」が第68回日本推理作家協会賞(長編および連作短編編集部門)を受賞、デレビドラマ化もされ大ベストセラーになる。 20年「ザ・ロイヤルファミリー」で第33回山本周五郎賞、及びJRA賞馬事文化賞を受賞。他の著書に「小説王」「かなしきデブ猫ちゃん」などがある。

主な登場人物:

谷原京子<私>
父親

武蔵野書店・吉祥寺本店に<文芸担当>として勤める契約社員、28才。入社して6年。
・父親 京子の実家は神楽坂で小料理屋<美晴>を営む。
     エロ親父?。

山本猛(たける)

吉祥寺本店の店長、40才。アルバイト、スタッフからは「やさしい」、一方正社員や契約社員からは「軽薄」の評価。
きっての親社長派。

小柳真里

私より7つ年上の敬愛する先輩正社員、35才。
この店の数少ない良心。

小野寺 私よりひとつ年下の正社員。<雑誌担当>
磯田真紀子 バイト始めて数週間の、若いがプライド高い女の子。
<文芸担当>
木梨裕子 最年少アルバイトの大学生。
柏木雄三 武蔵野書店の社長。武蔵野書店は東京武蔵野地区を中心に6店舗を展開する小さな書店。
大西賢也(けんや) 当代きっての売れっ子の覆面作家。
富田暁(あかつき)

デビュー作「空前のエデン」が評判。
谷原京子の推薦コメントが採用されたことで、新作には版元から谷原京子宛てにゲラが送られてくるように。

佐々木陽子 <リバティ書店>のカリスマ書店員として知られる。
山中さん 往来館(業界最大手の出版社)の営業。 私の嫌いなタイプの営業。
石野恵奈子 <美晴>の客、親父と妙に仲がいい。本好きな普通の主婦。

物語の概要:(図書館の紹介記事より。)

 谷原京子、28歳、武蔵野書店吉祥寺本店の契約社員。山本猛という名前ばかり勇ましい店長の元、日々忙しく働いている。あこがれの先輩書店員小柳真理さんの存在が心の支えだ。そんなある日、小柳さんに、店を辞めることになったと言われ…。

読後感:

 主人公は、東京武蔵野地区にある武蔵野書店「吉祥寺本店」に勤める契約社員の谷原京子。彼女は、店長の山本猛の、何とも評価しかねる態度、行動、言動にかなり振り回されている。そのバカさ加減が本物なのか、はたまた全て演技なのかと思わされたり。

 そして書店員としての活動は、作家のゲラ作品が持ち込まれるとその作品の感想や推薦文を版元で採用されたり、書店での売りたい本として、自身の行動に反映させたりと書店員としてのやりがいの原動力となっている。薄給は悩みの種だけれど、本が好きということが何よりも自己満足の原動力である。

 ところが、バカは店長のみならず、小説家のバカ、社長のバカ、版元の営業のバカ、お客様は神様のバカ、結局、私がバカと、バカさ加減が結構面白い。
 そして、そして、山本店長の真相、覆面作家の大西賢也先生の素性とミステリー性も読者を引き込んで。
 私は幾度となく辞めてやると思ったのに、なんだかバカな店長に“ 愛 ” を感じてしまった???そんなことはないか?


余談:

 本好きにとって、この作品に見る書店員さんがこんな生活をしているのかと、本を取り巻く色々な状況も垣間見た感じで面白かった。
背景画は、自然いっぱいの素材集がErrorとなって消失してしまったので、背景素材無料のものからに。

           
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