読後感:
・ 自分(光源氏のこと)が過去に侵したと同じ罪が、現実問題となって、正妻である女三の宮と柏木の間で起きてしまった。そのことに対する罪深さ、また、それを人に知られたくないことでもあることの鬱積。柏木が人々から好意を持ってみられていただけに、なおさらうづきが残る。
年を重ねた源氏の苦悩が、物語をさらに深くしていく。
・ 歴史は繰り返されるというか、光源氏が、実は憧れの藤壺の中宮との間に出来た冷泉院のことで悩んだことが、今度は自分が親として、柏木と女三宮の間に出来た薫のことで悩むことになる。なんとも因縁の物語である。人間年を取って老いの不安が出て来たとき、定めを感じるときがあるのであろう。・・・・・・・・
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