日本の文学古典編 『源氏物語』 (その2)











                  
2006-07-25


(作品は、ほるぷ出版 日本の文学古典編 紫式部作『源氏物語』による。)

       
 

 『源氏物語』(その1)に引き続き、第二部 若菜上巻から幻巻までの八帖、と第三部 匂宮(におうみや)巻から夢浮橋(ゆめのうきはし)巻までの十三帖からなっている残りの部分についてである。

 第二部:
紫の上の死、光源氏の幕引きまでに出てくる光源氏に関係した人物の概略、展開


女三宮 朱雀院と藤壺の女御の子。
光源氏40才、朱雀院が病気がちで、出家を考えるも、亡き藤壺の女御との間の女三宮(14才)のことが心配で、光源氏を婿に迎えたいと頼む。
光源氏、女三宮を正室に迎える。そのことから紫の上の苦悩がはじまる。源氏に忍び寄る老いの影と、紫の上の抱え込んだ悲しみの深さが、暗い予感を漂わせる。
かたや、女三宮に想いを寄せていた柏木は、あきらめきれず、女三宮と契りを結ぶ。
柏木との密事で薫を出産したことで、出産後出家してしまう。
・柏木 太政大臣(昔光源氏と仲の良かった頭中将)の子。女三宮との密事が光源氏に知れるや、恐れおののき、病になり、親友の夕霧(光源氏の子)に、源氏へのとりなしと妻落葉の宮の後事を託して泡の消え入るように他界する。
女三宮と柏木との間に出来た子であるが、世間的には光源氏の子としてある。光源氏亡き後の源氏物語の主役の一人となる。
匂宮 光源氏と明石の君との間に出来た明石の中宮と、今上帝の子。光源氏の孫に当たる。光源氏亡き後の、源氏物語の主役のもう一方の一人である。
夕霧と落葉の宮物語。
紫の上の死。
光源氏の死。

読後感:

・ 自分(光源氏のこと)が過去に侵したと同じ罪が、現実問題となって、正妻である女三の宮と柏木の間で起きてしまった。そのことに対する罪深さ、また、それを人に知られたくないことでもあることの鬱積。柏木が人々から好意を持ってみられていただけに、なおさらうづきが残る。

年を重ねた源氏の苦悩が、物語をさらに深くしていく。
・ 歴史は繰り返されるというか、光源氏が、実は憧れの藤壺の中宮との間に出来た冷泉院のことで悩んだことが、今度は自分が親として、柏木と女三宮の間に出来た薫のことで悩むことになる。なんとも因縁の物語である。人間年を取って老いの不安が出て来たとき、定めを感じるときがあるのであろう。・・・・・・・・




第三部:
光源氏以降の物語 匂宮、薫中心の宇治十帖物語

光源氏の亡き後の物語が始まる。源氏の子孫でその面影を受け継ぐ人といえば、当帝の三の宮(源氏の孫にあたる匂宮)と、女三の宮の若君(源氏の二男、実は柏木の胤(たね)である薫)のみで、それぞれ世評が高かった。

 その頃、世間から忘れられ、宇治に隠棲している古宮(宇治の八の宮)がいた。桐壺の帝の第八皇子であるが、冷泉院が東宮の時代、それを廃そうとした弘徽殿の大后の陰謀に巻き込まれてしまい、その後、光源氏一族の時代になってから、宇治に移り住み、俗聖の生活をしていた。 

・宇治の大君
北の方が亡くなってからは、八の宮がひとりで慈(いつく)しみ育てた姫君の一人。薫に姫君達の後身を頼み、亡くなる。
大君は、父の訓戒を守り、宇治から離れず、中の君を身代わりに薫と結婚させたいと考え、薫との結婚を拒み続けなくなる。
・宇治の中の君 薫は匂宮に姫君達のことを話すと、好色な匂宮は興味を示し、中の君に思いを寄せる。薫は中の君が匂宮と結婚すれば、大君と結婚出来ると思う。中の君は、匂宮と結ばれるも、都での生活は難しく、姉の大君の行為を懐かしむ。
そして、死を覚悟して、失踪する。
薫は母が出家した理由を知りたがると同時に、自分の出生の秘密を知りたいが問う人もいないで世俗に背を向けている。
誠実な性格は、柏木譲りのものであろう、大君を失い、中の君を匂宮に譲ったことを
後悔し、その後も中の君の支えとなる。
・匂宮 薫と対照的に好色、ライバル意識をもっている。立場上のことはあっても、中の君に対する、アクテイブな匂宮の行動が中の君の決意を引き出すことに。

読後感:
・ やっと源氏物語を読み終えたという感じで、ある種の満足感を抱く。

・ 平安時代の物語とはいえ、当時の貴族社会の模様が理解出来たのと、夫と妻の関係、親と子の関係、男と女の関係、身分、宿世など、実に多くのことを含んだ物語が、紫式部という女性の手で書かれたことに感心する。また、読む年齢、年齢で受け取り方が違ってくるとと思うし、日本文学の古典と云われるのが始めて実感できた。
これを読み終えたことに、何か自信のようなものが湧いてきた。

余談:
 古典て、なかなか良い物だと思った。 これからもボチボチ読み続けたい。
 背景画は2005-9月京都下鴨神社にて撮影。

                    

                          

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