読後感:
個人情報を自在に入手しそれをネットに流してその人物を誹謗中傷する。それがある断面だけを見せてあたかもその人物そのものの姿であると思わせる。かつ真実でなく故意に仕組まれたもの場合はどうなるのか。
次世代ミサイル防衛システム贈収賄疑惑で対象となる矢島衆議院議員が家宅捜索に入られる直前にマンションから飛び降り自殺をする。そしてネット上には矢島の行動がリアルに暴露されている。果たしてその情報はいったい誰が、どのようにして知ったのか。背後にうごめく組織?はいったいどういうものか。
湯浅検事とインターネットに強い若手の安見検事がその解明に奔走する。なかなか今の世の中にマッチした恐ろしい世界の物語に引き込まれてしまった。
果たしてこんなことが出来るのかと。
さらに安見のことを好きに思う小津清美事務官の絡み、湯浅の娘美沙が急性リンパ性白血病で入院している所にも手が伸びてくる。湯浅も殺人容疑で追求を受け、万事休す。
奈緒子と美沙の身辺警護のため依頼する総合探偵保障サービスの女事務長佐久間の言動は窮地に追い込まれた湯浅にとっても読んでいる者にとってもなんと安心感を与えるものか、何かほっとする感じを味わった。
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