福田和代著 『黒と赤の本流』
                               


 

               2011-12-25



(作品は、福田和代著 『黒と赤の本流』 早川書房による。)

             


 本書 2009年(平成21年)2月刊行、書き下ろし作品。

福田和代:

1967年神戸市生まれ。神戸大学工学部卒。2007年、陸の孤島と化した関空を舞台にハイジャック犯と警察との攻防を描いた「ヴィズ・ゼロ」でデビュー。専門知識を活かした取材力と高リーダビリティが話題に。「Tokyo Blackout」も大好評を博する。

 主な登場人物: 

間嶋裕一 大学生、元超高校級のスプリンター。交通事故で片足を怪我。

ドゥアン
タオ

裕一の友人のタイ人青年。悪仲間であった。
古賀俊夫 元刑事、田辺探偵事務所の事務員。二十年前の事件で高見を巻き込み片わにしてしまう。
高見聡 高見社長。瀬戸内海に小さな島を持つ。二十年前の事件で車椅子の人生に。古賀を恨んでいる。
京子 高見の婚約者だったが、二十年前の事件後別れて海外へ。古賀と高見で競い合った仲。
真木良介 高見の投資コンサルタント。
川西(かさい) 明石の漁師。高見に心酔している。
野崎健吾

楽祐会組長。
・岡田、高坂 野崎の部下。

陳国順
(チェン・クオシュン)

台湾の麻薬・拳銃ブローカー。
後藤、松田 兵庫県警刑事。古賀の後輩であった。

物語の概要:図書館の紹介より

 20年ぶりに帰国した元刑事、孤島に住む車椅子の社長、拳銃密輸に暗躍する蛇頭、父親の影を追うタイ人青年、走れないスプリンター…。全ての青年とかつての青年は荒海をめざす。骨太で熱い青春海洋冒険サスペンス。

読後感

 神戸を舞台にしたところで昔いた頃と割に馴染みの場所だけに親近感が湧く。登場する人物もヤクザの人間以外謎の部分は多いが、聖人君主じゃないが、信義とか情けとかにも納得が出来る人物なので嫌味がなく読める。そして海洋の話は余り今まで読んでいなかったので新鮮みがあり好ましかった。
 展開もスムースでスピード感があり、痛快活劇と言える内容である。
 少し物足りないと思えるのが、高見に対して真木や川西が何故心酔するのか、ドゥアンとタオの人物像がもうひとつ伝わってこないのが残念というところか。


余談:
 背景画を考えているとき西宮のマリーナを思いつく。子供の頃甲子園球場の近く西宮に15年ほど住んでいて、はてどこにあったかなあとグーグルの航空写真を見ながら探す。もう何十年も前のため甲子園付近も高速が通り面影がすっかり変わってしまって時の流れを感じてしまった。読書がらみでこんなこともいいかな。
背景画は、作品中に出てくる西宮のマリーナをイメージして。

                    

                          

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