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余談1: この作品には、以下の短編もおさめられている。 ◇黒い縄 「別冊文藝春秋」121号 ◇暗殺の年輪 [オール読物]昭和48年3月号 ◇ただ一撃 [オール読物]昭和48年6月号 ◇溟い海(くらいうみ) [オール読物]昭和46年6月号 ◇囮(おとり) [オール読物]昭和46年11月号 いずれの作品も、それぞれ面白いものであるが、その中でも、『溟い海』は、第38回オール読物新人賞受賞作品であり、また、同年直木賞候補に推されている。 富嶽三十六景で画壇の内側に入ったと感じた葛飾北斎も老齢の時に至る。そのころ評判になってきたのが安藤広重の東海道五十三次の絵。「先生のいう風景画と、少し違う」と聞いて「東都名所」と何が違うと考えつつ、「そこにあるいは彼を凌ぐ風景画の名手を見出すことになるかも知れない。その時前人未踏、古今独歩の風景描き北斎の名声が地に落ちるのだ」と怖れる。はたして作品をみると自分の絵の描き方とに差を感じる。 次ぎに取り組んだ富嶽百景は不評。藤沢周平が描く創作作品である。 |
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