堂場瞬一著  『天国の罠』


             
2014-01-25



(作品は、堂場瞬一著 『天国の罠』   徳間書店による。)

                 

本書 2002年(平成14年)9月刊行。

堂場瞬一:
 1963年、茨城県生まれ。青山学院大学国際政治経済学部卒。新聞社勤務の傍ら、2000年「8年」で第13回小説すばる新人賞を受賞し作家デビュー。続いて「雪虫」(中央公論新社)、「マスク」(集英社)を発表。

主な登場人物:

広瀬隆二
(35歳)
恋人 橋谷由香里

(没)

ライター、今井聡史から「香奈を探してくれ」と頼まれ、自叙伝執筆を条件に引き受ける。
由香里は30歳直前、商業デザイナーとして独立、マンションを広瀬名義で購入してくれる。広瀬が運転する交通事故で亡くなる。

今井聡史(さとし)
(70歳)
息子 明俊

引退した国会議員。法曹界での地位を築いた後政界入り。引退後も顔が利く。
息子の明俊は聡史の後を継いで立候補を予定している。

今井香奈 今井聡史の最初の妻との間に生まれた娘。15年前突然姿を消す。
武田健(たける) 広瀬の住むマンションの一階で店を開いている店子。「オートショップ・タケダ」の店長で年長の友人。
磯路夫(みちお)

会津若松で「ハートワーク・ギターズ」の楽器店を営む。
10年前香奈は突然出ていく。

石垣

伊豆で「ケイソー・モーターズ」の中古自動車販売を営む。

米山光男 「下田週報」という小さな新聞社を経営。今井香奈を雇う。
樋口慶介 静岡で一番の大物代議士。当時の県連会長。
徳本英次 尾道の元代議士秘書。

物語の概要:

フリーライターの広瀬は、有名代議士の自叙伝執筆の取材で、15年前に失踪した代議士の娘の行方を追う。彼女の足跡を辿ると、そこには女の魔性の虜となった男たちの姿が…。俊英作家、渾身の長篇ハードボイルド。

読後感:

 依頼された人捜しの相手今井香奈という女性の後を追うライター広瀬隆一、何故かその先を行く身元不明の5人組?の男達。一向に香奈の姿が現れてこない。ただ15年前から次第に近づいている感じだけ。

 どうも今まで読んでいた堂場瞬一の物語の印象と違う。感情移入が起こらないというか、身が入らずにページ数だけが減っていくようだ。
 理由は何かと考えてみると、刑事が出てこないから?身近に感じる話が出てこないから?
 もう一つは魅力を感じる登場人物が出てこないから?

 香奈という美人で一途な面を持つ人間が会津、伊豆、尾道とその地で男の庇護?を受けながら何かを探し求めているそれが何か?誰か?を追っかけていく内に、自分の恋人由香里と顔が似ていることから自然にあの事故の罪滅ぼしのような感じに思いながら、見えない敵に襲われながら次第に香奈に近づいていく。果たして真相は・・・。
 もうひとつ身が入らなかった感じ。

  
余談:

 読書をする中で原稿作成に適さないケースが時々出てくる。この作品とほぼ同時にしている佐藤多佳子著の「サマータイム」と中島京子の「海」と言う短編もの。
「サマータイム」は児童向け小説という面もあるがメルヘンっぽい物語で感銘を受ける物であるが、この作品だけで取り上げるのもどうかな。中島京子の「海」は一つ一つの短編は読んでいて興味を抱かせる物でいいのたが・・・。
 読書をしているとこんな時も出てくる。それは肥やしとして読み置くことにしておこうかな。小作品として。

  背景画は、主人公が友人から借りた車(ロードスター)を乗り回している様子から
フォトは世代が違うだろうけれど。