堂場瞬一著
           『見えざる貌』、『ルーキー』






 

                  2015-08-25



 (作品は、堂場瞬一著 『見えざる貌』、『ルーキー』  中央公論新社による。)

           
『見えざる貌』 
本書 2014年(平成26年)9月刊行。書き下ろし作品。
『ルーキー』
本書 2014年(平成26年)3月刊行。書き下ろし作品。

堂場瞬一:(「見えざる貌」より)

 
1963年生まれ。茨城県出身。青山学院大学国際政治経済学部卒業。2000年秋「8年」にて第13回小説すばる新人賞を受賞。主な著書に「刑事・鳴沢了」シリーズ、「警視庁失踪課・高崎賢吾」シリーズ、「刑事の挑戦・一之瀬拓馬」シリーズ、「汐灘」サーガの他、「Sの継承」「ラスト・コード」「共鳴」(以上小社刊)、「警視庁捜査係」シリーズ(ハルキ文庫)、「アナザーフェイス」シリーズ(文春文庫)、「捜査一課・澤村慶司」シリーズ(角川文庫)「警視庁犯罪被害者支援課」シリーズ(講談社文庫)、「異境」(小学館文庫)、「グレイ」(集英社)、「内通者」(毎日新聞出版)などがある。


登場人物:
『見えざる貌』
一之瀬拓真

千代田署刑事課の最年少刑事。去年の春移動してきて1年。
誰かに馬鹿にされたり説教されるのが大嫌い。

藤島一成他

・藤島一成 50近い一之瀬の相棒。
・宇佐美 千代田署刑事課課長。
・岡本 千代田署刑事課の先輩刑事、二番目に若い。
・刈谷 本部捜査一課の管理官。
・坂元 本部捜査一課長。

半蔵門所刑事

・戸津課長 宇佐美課長と同期。
・若杉真治 一之瀬と同期の刑事。父親は神奈川県警の刑事。

春木杏奈

タレント。最近ランニングが仕事につながり、ランニングウェアの大物スポンサーの仕事で人気が出てきている。皇居ランでの襲撃に遭い、一之瀬たちがガードすることに。
・大西礼一郎 杏奈の別れた恋人。

小池由貴 春木杏奈のマネージャー。“芸新社”(大手芸能事務所)の人間。
溝内恭彦 春木杏奈の初代マネージャー。
被害者

・有馬礼香(29歳) 皇居ラン中背後から殴られる。
・村井秋穂(25歳) 同じく、8日間に2件目。
・春木杏奈 皇居ラン中背後から背中を刺される。
・加納亜佐美 第4の犠牲者。複数回殴打され死亡。春木杏奈のファン。


『ルーキー』
一之瀬拓真

交番勤務から千代田署刑事課強行班係に転属の新人刑事、25歳。
・深雪 大学時代から付きあいで4年になる。
・城田 警察学校での同期、千代田署の独身寮では同室。2週間の特別派遣で震災のあった福島に行っている。

藤島一成他

・藤島一成 一之瀬の教育係を言い渡された刑事、48歳。
・宇佐美 千代田署刑事課課長。
・渕上 捜査本部での周辺捜査班のキャップ。
・刈谷 本部捜査一課の管理官。スマートな男、視線の冷たさ坂元以上。
・坂元 本部捜査一課長。人相悪く意志の強さ表す太く強張った顎の持ち主。
・秋庭 交番勤務時代のハコ長。

被害者

・古谷孝也(30歳) ザップ・ジャパン(IT関連の大企業)本社の持ち株会社総務課長。


物語の概要(図書館の紹介記事より)
『見えざる貌』
 千代田署刑事課そろそろ二年目、一之瀬拓真。管内で女性ランナー襲撃事件が発生し、捜査に加わるが、なぜか女性タレントのジョギングを警護することに!?

『ルーキー』
 千代田署刑事課に配属になった新人・一之瀬。起きる事件は盗難ばかりというビジネス街で、初日から若い男性が被害者の、殺人事件に直面する。

読後感
『見えざる貌』 

 最近はやりの皇居を中心としたジョギングの女性ランナーが襲撃される事件。スポーツが得意でもない一之瀬が警戒のためにかり出される。特に被害者の春木杏奈がタレントということもあり、展開は面白い。春木杏奈の性格がなんとなく外面はいいが内実は何かあるような気がするが、なかなか現れてこなく、犯人像も先が見えない。
 そんな展開に新人刑事の一之瀬の頼りなさそうなところもあるが、同期の若杉に対抗する姿、相棒の藤島のサポートも受けながら経験を積んでいく姿がすがすがしい。
 事件の真相は春木杏奈の怪物ぶりに敗北することになるも、この先にもつながっていきそうな予感。

『ルーキー』

 先に”刑事の挑戦・一之瀬拓真”シリーズの第2弾に当たる「見えざる貌」を読んだが、その最初に当たる作品である。読み出すとこちらの方がずっと新鮮で、新人の刑事が成長していく様が描かれていて好感を持てた。指導役の藤島とのやりとり、藤島の狡猾さ?、人の良さも人間的で結構面白い作品になっている。

 被害者のIT系企業の若くして持ち株会社の総務課長古谷の滅多刺し殺人事件の犯人捜しに、現在の企業の問題点、独立のための離職者の人の背景など最近の話題も織り込まれていて面白い。

余談:

“刑事の挑戦・一之瀬拓真”シリーズということで本作品は第2弾。第1弾の「ルーキー」、最近発売の「誘爆」と読んでみたくなる。著者略歴を見ても色々なシリーズを発表する多作作家の分類に入る作家である。人気もあるしアイデアがあふれ出てくるのだろうと。確実にあたり外れのない気楽に楽しめる作品といえる。

 刑事物も色々あるが、全くの新人刑事を主人公に色んな事を経験し、感じながら成長していく刑事というのも小説になる。

背景画は、「見えざる貌」に登場する皇居ランニングに関連する地図を利用。

                    

                          

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