堂場瞬一著 『愚者の連鎖』
ーアナザーフェイス7ー

 

              2016-08-25



(作品は、堂場瞬一著 『愚者の連鎖』ーアナザーフェイス7−  文春文庫による。)

           
 

  本書 2016年(平成28年)3月刊行。書き下ろし作品。

 堂場瞬一:(本書より)

1963年生まれ。茨城県出身。青山学院大学国際政治経済学部卒業。2000年に「8年」で第13回小説すばる新人賞を受賞。主な著書に「刑事・鳴沢了」シリーズ、「アナザーフェイス」シリーズ、「警視庁犯罪被害者支援課」シリーズ、「刑事の挑戦・一之瀬拓真」シリーズ、、「警視庁追跡捜査係」シリーズのほか、「誤断」(中央公論新社)、「ルール」(実業之日本社)、「夏の雷音」(小学館)、「虚報」「黄金の時」(文藝春秋)、「Killers(上・下)」(講談社)、「晩政の秋」(集英社)「バビロンの秘文字 T」(中央公論新社)など多数。 

主な登場人物:


大友鉄
妻 菜氏i没)
息子 優斗
義母 矢島聖子

前妻を亡くし捜査一課から刑事総務課に。刑事特別捜査係主任、巡査部長。
「取り調べ」と「事情聴取」が得意。
・優斗 中学生に。
・矢島聖子 町田に住む菜獅フ母親。菜緒の死後困ったときは聖子が優斗を預かっている。

柴克志 捜査一課、大友鉄の同期。突っ走りタイプ。
高畑敦美 捜査一課 柴と同じ班に。大学時代女子ラグビーで活躍、大柄。
後山(あとやま) 刑事部参事官、キャリア、警視正。大友の“守護者”。

捜査本部

・牧原捜査一課の管理官。

荒熊 組織犯罪対策部
南太田署

・須崎刑事課課長。
・玉城係長、警部補。昇任して本部から刑事課に移動してくる。大友より2年年下。沖縄出身。若居の取り調べを大友に交代させられ怒り心頭。
・君塚 若い刑事。若居の取り調べ時の記録係。上司玉城係長。
・鬼頭優 若い刑事。上司玉城係長。

川崎中央署

・高見刑事課長。
・鷹栖大作 地域課の交番勤務の巡査。

海老沢泰司(やすし) 東京地検の担当検事。

若居智仁(ともひと)
(25歳)
父親 浩一
母親 明美

連続窃盗事件で現行犯逮捕される。取り調べには完全黙秘を続ける。
後山参事官から南太田署の捜査本部入りを指示された大友が担当することに。

田原麻衣 川崎の市立病院勤務の看護師、若居の恋人。父親は脳梗塞で半身不随で入院、リハビリ上手くいってない。
高木尚也

川崎で古着屋“ブルーライン”を営み、裏で危険ドラッグを扱っている半グレ。
手下:藤垣玲人(れいと)、畠悠二、安藤美智雄、若居智仁

河島栄太 川崎の暴力団岩尾組の若頭。
沢登有香 東日新聞の女記者、遊軍。粘りっこく鋭い。

物語の概要:(図書館の紹介記事より。)

後山の指令で、長いあいだ完全黙秘を続ける男を取り調べることになった大友。沈黙の背景には驚くべき過去が…大人気シリーズ第7弾。

読後感
  

 読み継いでついに第7弾までに。目新しい小説、難解で頭の中が混乱している状態、日常のことであくせくし、普通の日常に早く戻りたいと思っている時、読み慣れた登場人物が常識的な内容で素直に内容を楽しめる作品はまたとない休息の時間を過ごせる清涼剤のようなもの。このシリーズ作品も楽しみな作品の一つである。

 さて、今回はおなじみ三馬鹿トリオ(捜査一課の牧原管理官の評)が活躍する場面が楽しみで健在。
 そして、通して子供の頃のいじめから阻害され、そこから様々な人生を送ることになった若者たち、警察官、半グレやヤクザの人間が登場し大友鉄を悩まし、反省をしたり、思いやりを感じたりしながら事件に向き合う。

 特に窃盗事件で現行犯逮捕された若居智仁が完全黙秘の背景を解き明かされるには育ってきた生い立ちが、そして彼女を好きになったことでの彼女のために何とかしようともがく姿に現在の世の中の事情も見え隠れする。
 そして高畑敦美の結婚にまつわる話も果たしてどうなるのか興味のあるところ。果たして理解者が現れたのか。

 また後山の様子がいつもと違うのにラストで明かされる。どうもこのシリーズは最終に近いかもと予感させる。
 東日の沢登有香の移動もシリーズの経過がなせるせいかも。 

  

余談:

著者の堂場作品、今までも多数読んで来たが、このシリーズもこの後続くようでもあり、おしまいのようでも有り、どっちとも言えない内容は文春文庫での書き下ろしのせいかもと勘ぐられる。人気作家だけに色んな出版社が依頼するだろうし。そんなことまで考えてどうする?

背景画は、清流をテーマに。(自然いっぱいの素材集より)

                    

                          

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