堂場瞬一著 『第四の壁』
 
−アナザーフェイス3−


 

              2016-05-25



(作品は、堂場瞬一著 『第四の壁』−アナザーフェイス3−  文春文庫による。)

           
 

 
 本書 2011年(平成23年)12月刊行。

 堂場瞬一(「敗者の嘘」より)

1963年生まれ。茨城県出身。青山学院大学国際政治経済学部卒業。新聞社勤務のかたわら小説の執筆をはじめる。2000年に「8年」で第13回小説すばる新人賞受賞。主な著書に「刑事・鳴沢了」シリーズ、「警視庁失踪課・高城賢吾」シリーズ、「警視庁追跡捜査係」シリーズのほか、「神の領域 検事・城戸南」「約束の河」「標なき道」「長き雨の烙印」「断絶」「夜の終焉」「沈黙の檻」(中央公論新社)、「蒼の悔恨」「青の懺悔」「灰の旋律」(PHP研究所)、「棘の街」(幻冬舎)、「巨報」(文藝春秋)、「水を打つ」(実業之日本社)、「逸脱」(角川書店)など。

主な登場人物:


大友鉄(35歳)
妻 菜氏i没)
息子 優斗
義母 矢島聖子

2年前妻を亡くし捜査一課から刑事総務課に。刑事特別捜査係主任、巡査部長。
テツの評価:被害者の心に壁を作らない、容疑者を警戒させない(福原の評価)。人に警戒心を与えないタイプ。
・優斗 小学2年(8歳)。
・矢島聖子 町田に住む菜獅フ母親。菜緒の死後困ったときは聖子が優斗を預かっている。
・畑野 同僚。

柴克志 捜査一課、大友鉄の同期。突っ走りタイプ。
高畑敦美 捜査共助課、巡査部長。大友と同期。取り調べ技術の確かさ。大柄。
福原聡介 刑事部特別指導官。刑事部のナンバースリー。大友鉄を捜査本部に手伝いとして送り込む。
世田谷北署捜査本部

・渡辺 本庁捜一管理官
・榛名美知(はるな) 世田谷北署刑事課係長。猜疑心の強い本性が透けて見える、40歳くらい。

<劇団 夢厳社関係者>
笹倉逸郎 独善的な劇団代表。二十周年記念講演の“アノニマス”の舞台上で刺殺される。
長浜護(まもる) 看板俳優。笹倉とは仲よくなかった。
箕輪早紀

劇団の人気女優。
・有田有子 早紀のマネージャー。

その他

・武智 劇団のナンバー2。
・古橋康之(やすゆき) 美術担当。
・石本 美術担当。
・市谷 中川の元で修行中。他にテレビの構成作家として。
・中川俊 脚本家。学生時代笹倉の圧政の犠牲者。笹倉と大喧嘩し、10年前に辞め、テレビ界で活躍中。
・高山 俳優。

沢登有香 東日新聞の女記者。粘りっこく鋭い。

物語の概要:(本書の裏表紙に記載の文章より抜粋。)

 警視庁・刑事総務課に勤める大友鉄は、かって所属した劇団の記念講演に招待される。だが、主宰の笹倉が舞台上で絶命。それは、まさに上演されていたシナリオ通りの展開だった。大友は、過去と向き合いつつ、昔の仲間たちを容疑者として取り調べることになる・・・。

読後感
  

 今回の事件は昔所属していた劇団の仲間との対峙。警察官となったことの後悔(?)と夢を追い続けている仲間への羨望(?)との狭間で、仲間を守りたいことと、警察官として冷酷に取り調べる事との中途半端さに戸惑う。

 柴の最初の忠告「この事件には関わらない方が良い」に逆らって自ら手を挙げたことに後悔。一方、高畑敦美からは「女、だ」「テツは、女性関係では面倒なトラブルに巻き込まれやすいタイプだからね。先制攻撃が一番よ」と説教され、「僕の助けが必要な人がいるからだ」と柴に告げ再び復帰する。
 アナザーフェイスシリーズの第3弾、大友鉄の人物像が次第に明らかになる。
 今回は学生時代役者になることを夢見たこともあったが、刑事になった理由、菜緒と一緒になった理由を早紀に初めて語った。

 

  

余談:

 アナザーフェイスシリーズ第3弾、大友鉄の人物像が次第に明らかになってきたが、今回の、舞台に情熱を傾ける人物たち、役者や脚本家の世界を含めなかなか面白い内容で楽しめた。
 解説に登場する中村トオルの話もドラマ出演者ならではのコメントでなかなか面白かった。演じると言うことの難しさ、役者の感じたことをどう表現するかの難しさ、一方で本を読んで感じること、感じ方の程度とかも人によって異なるし。いずれにしても感動するか、感動させられるかどうかで評価は変わる。シリーズを最後まで読んでみたいと思った。

背景画は、清流をテーマに。(自然いっぱいの素材集より)

                    

                          

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