知念実希人 『硝子の塔の殺人』



              2022-06-25


(作品は、知念実希人著 『硝子の塔の殺人』    実業之日本社による。)
                  
          

  初出 「アップルブックス」配信
     2021年6月から7月まで連続単行本化にあたり、加筆、修正。

  
本書 2021年(令和3年)8月刊行。

 知念実希人
(ちねん・みきと)(本書による)

 1978年、沖縄県生まれ。東京都在住。東京慈恵会医科大学卒、日本内科学会認定医。2011年、第4回島田荘司選ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を「レゾン・デートル」で受賞。12年、同作を改題、「誰がための刃」で作家デビュー。(19年「レゾンデートル」として文庫化)。 「天久鷹央」シリーズが人気を博し、15年「仮面病棟」が啓文堂文庫大賞を受賞、ベストセラーに。「崩れる脳を抱きしめて」「ひとつむぎの手」「ムゲンのi(上・下)」で、18年、19年、20年本屋大賞連続ノミネート。「優しい死神の飼い方」「時限病棟」「リアルフェイス」「レフトハンド・ブラザーフッド」「誘拐遊戯」「十字架のカルテ」「傷痕のメッセージ」など著書多数。今もっとも多くの読者に支持される、最注目のミステリー作家。

主な登場人物:

[ゲスト]
一条遊馬 医師。神津島の専属医。ミステリー作品好き。
碧月夜(あおい・つきよ) 名探偵、20代半ば。彼女の格好はシャーロック・ホームズにそっくり。
加々見剛(つよし) 長野県警捜査一課の刑事。
九流間行進(くるま・こうしん) 本格ミステリ界の重鎮。和装の小柄な老人、73歳。
左京公介 月刊超ミステリ編集長。
夢読水晶(ゆめよみ) 霊能力者。
[硝子館]関係者 硝子館は長野県北アルプス南部の蝶ヶ岳中腹(山奥)に建つ。
神津島太郎(こうづしま)

硝子館の主、70代。数年前は帝都大学生命工学科の教授。
重度のミステリフリークにしてコレクター。「神津島コレクション」を硝子館展望室に収蔵。

老田真三(おいだ・しんぞう) 執事。
巴円香(ともえ・まどか) メイド。20代後半。
酒泉大樹
(さかいずみ・たいき)
料理人。

物語の概要:(図書館の紹介記事より。)

 雪深き森で、燦然と輝く、硝子の塔。この建築物で事件が起こる。館の主人が毒殺され、ダイニングでは火事が起き血塗れの遺体が。さらに、血文字で記された13年前の事件…。謎を追うのは名探偵・碧月夜と医師・一条遊馬。著者初の本格ミステリ長編。

読後感:

 神津島太郎の招待で招かれたゲストたちの中に神津島の専属医一条遊馬がいる。
 そして、神津島から今回発表するのは「未公開の長編を手に入れた」と。
 ところで、遊馬の思惑は、妹がALSを患っており、塩田製薬の治験で改善が見られることに希望を持っているも、神津島が持つ特許侵害で訴訟が起こされていて、なんとしても取り下げられないと、妹の命が風前の灯火となることにある。

 しかし断られ、神津島をフグの肝臓の粉末で毒殺してしまう。 さて、犯人捜しが始まる中、次々起こる密室殺人事件で、 遊馬はその犯人に神津島殺しも被せてしまおうと・・・。
 次々起こる硝子館での密室殺人が展開する中、名探偵と称する碧月夜は、一条遊馬をワトソン役として事件の検証を進めていく展開が延々と続く。

 犯人は硝子館に居る人間に限られる状況で、密室殺人が行われ、推理の方法には、実にミステリー作家と、作品の歴史が見事に展開される内容で、よくぞこんな作品ができあがったものと感心すること半端でない。

 勿論どんでん返しも用意されているし、これで終わったかと思いきや、どっこい、まだページ数が少なからずある。
 ゲストの人物も、刑事、名探偵、小説家、編集者、霊能力者、医師とバラエティに渡り、主人公とも思える一条遊馬が殺人者で、それを暴かれないかと恐れながら、名探偵の碧月夜のワトソン役となって、事件に向き合っている所もどうなることかと・・・。
 本の内容の詳細は未読者に対してとても書けない。


余談:

 ミステリー作品で知っているのは、テレビなどでアガサクリスティー作品や、コナンドイルのシャーロック・ホームズ等だが、“シャーロック”というテレビで、モリアーティーなる、ホームズのライバルのあの俳優の顔が忘れられない。そのモリアーティーの名前が作中に出てきて、知っていてよかったと思えた。
背景画は、自然いっぱいの素材集がErrorとなって消失してしまったので、背景素材無料のものからに。

           
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