物語の概要:(図書館の紹介記事より。)
「神楽坂を舞台に怪談を書きませんか」。突然の依頼に、かつての凄惨な体験が作家の脳裏に浮かぶ。解けない謎、救えなかった友人、そこから逃げ出した自分。作家は、事件を小説として発表することで解決を目論むが…。戦慄の暗黒ミステリ。
読後感:
著者が「小説新潮」から依頼を受けた神楽坂を舞台にした作品を集めた「神楽坂怪談」特集に浮かんだ話の数々。
<染み>では結婚に関して占いで言われた「結婚なんてしない方がいい」と言われた相手に「別れようか」と言ったら・・。一方「絶対に別れたらいけない」と言われた友達が円満に別れたら・・・。これは祟りだったのか?
<お祓いを頼む女>では祟りといい、お祓いをするいい人を紹介してに、話を聞くことになって、現実は祟りでなかったと安心したのに・・・。「幻聴が聞こえる」という言葉を無視したために起きた出来事はやはり祟りだったのか?
<妄言>では、引っ越してきた家の隣人に、身に覚えのないとんでもないことを告げられ、身重の妻はストレスで流産してしまう。
「火のないところに煙はたたない」ということか。
<助けてって言ったのに>では、夫の実家に同居することになった智美が一月に二度くらい見る悪夢。実際に死ぬ思いをするほどの苦しい夢。義母の静子が見たものと同じという。家を売る話に持って行くも・・・。
<私>に語った榊の解釈は意外なものだった。
<誰かの怪異>は不動産屋に紹介された割安の物件、怪異の体験に友人が連れてきた霊能者は水が淀んでいると、特別に祈祷していただいたという“盛り塩”と御札を貼るように指導された。しかし怪異は起きてしまった。
オカルトライターの榊さんの見解は・・・。
<最終話>は<私>が第一話から第五話の怪談を単行本化するに当たり、榊さんに確認しようと。榊さんからはどうして第五話を書いたのかと。そして岸根さんは死んだと。
「問題なのはその死に方だよ」と。
思い返すとその時どきに転がり込んできた話を行き当たりばったりに書いてきたはずの五つの短編が、いつのまにか霊能者、お祓い、怪異、縁に吸い寄せられてきてしまっていたのか。
世の中には説明の付かないことが存在すると認識すべき?
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