物語の概要:(図書館の紹介記事より。)
北海道で独り暮らしするおもちさん、83歳。夫は施設に入り、娘は東京から日に二度電話をくれる。実は持病が悪化して、家族がおもちさんの生活のすべてを決めていくことに。揺れては消える老境の心情が静かに切々と迫ってくる、人生最晩年の物語。
読後感:
時に年を取り、晩年を迎えることを思うと先行き心配になるものだが、主人公のおもちさん、日頃はカラオケ部の催しでは人気者、おもちさんが出席しない時は、静かなものになるという。その他人と交わることに楽しみを感じ、女性に多い性分が羨ましい限りである。
でも、夫の勇さんが(口が重いひとだが)脳卒中で半身不随の身で特養に入院して、一人で住むことになると、寂しさが身に染みるらしい。
本人はボケが始まっているし、目は医者からは治らないと宣告され、失明までの命。
東京に居る娘の訪れを待ち望み、今でも電話をしあっている姪の藍子と一緒に住みたいとも思う。
娘やケアマネの林さんは、高級介護施設の「夢てまり」への入居をなだめたりすかしたりと。遂に入居に踏み切ったおもちさんは、夫の勇さんの特養に、バス一本で行けることを喜び、車椅子に乗せて散歩に出ることに意欲を湧かす。
おもちさんの生き方に、老いの悲しさ、不安があるがその生き様は共感と共に、勇気が湧いてくるように。
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