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朝井リョウ著 『 何様 』 











                  
2022-10-25

(作品は、朝井リョウ著 『 何様 』          新潮社による。)

             

初出 水曜日の南階段はきれい
     小説新潮  2011年12月号
     新潮文庫  「最後の恋 MEN’S」 2012年6月
   それでは二人組を作ってください
     Yom yom  2014年 32号
           新潮文庫「この部屋で君と」 2014年9月
   逆算
     小説新潮 2014年12月号
   きみだけの絶対
     書下ろし
   むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった
     小説新潮 2016年1月号
   何様
     Yom yom  2015年 38号

本書  2016年(平成28年)8月刊行。

朝井リョウ(本書による)

 1989年、岐阜県生まれ。早稲田大学文化構想学部卒。2009年、「桐島、部活やめるってよ」で第22回小説すばる新人賞受賞。受賞作がベストセラーになり、現役大学生作家として注目される。2013年、「何者」で第148回直木賞を受賞。他の著書に「チア男子!!」(第3回高校生が選ぶ天童文学賞)、「少女は卒業しない」「星やどりの声」「もういちど生まれる」「世界地図の下書き」(第29回坪田譲治文学賞)、「スペードの3」「武道館」「世にも奇妙な君物語」「ままならないから私とあなた」エッセイ集「時をかけるゆとり」がある。

 主な登場人物:
[水曜日の南階段はきれい]
神谷光太郎

御山大を目指す高校三年生。ゲリラライブを行う三人組。
夢は御山大のミヤマ・ミュージック・クラブに入ること。
・高田 図体大きい、クラスをまとめる能力ある。
・髢轣@お調子者。

荻島夕子 綾香たちと三人組の仲良しだが、二人とは距離を置いているよう。
英語の能力に秀でている。夢は・・・。
[それでは二人組を作ってください]
理香<私> 留学(1年)経験のある大学生。シェアハウスで相手を求めていて、部屋のインテリアに凝って探している。
朋美(ともみ)

同じ留学経験のある朋美。「ログハウスライフ」番組に夢中。
理香にその真髄を教えてあげると・・・。
・敦子
(あつこ) 朋美の友人。

[逆算]

松本有季(ゆうき)
<私>

鉄道会社の総合職に就職、4年後、不動産開発部の業務管理課に配属される。私は自宅から通う。
4年目になってより苛立つように。

可純(かすみ) 私と同期。事業推進本部で会社の独身寮住まいで、近く結婚する。
[きみだけの絶対]
亮博(あきひろ)<俺>

高二、サッカー部。花奈とイチャつくことが堪らない。
・烏丸ギンジ 母親の弟。御山大学中退、26歳の劇作家。

花奈 俺と仲良し。母親と二人暮らし、授業が終わるとすぐにバイトに。
[むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった]

桑原正美(まさみ)
<私>

滋賀住まい、独身35歳。大学卒業、人材コンサルで6年働き、マナー講師に転身、個人として働く。

妹 栄子
夫 裕輔

4年前結婚、東京で夫の勤め先の社宅住まい。
夫の実家は北海道。

田名部

企業合同説明会で見かけた同業者、40代。
・妻 学生結婚、今心が少し弱い状態と私に。
・娘 瑞月(みずき) 大学のカリキュラムで留学中。

[何様]
松居克弘(かつひろ)

ネットショッピングなどのインターネットサービスを運営する会社に就職。採用グループのサポート業務を担当。
・結唯(ゆい) 付き合って2年。同棲している。

君島(きみじま)

入社6年目、克弘の教育係の20代の女性。広告宣伝部にいて数年前人事部に異動してきた。
・武田 グループリーダー。克弘の代の面接を担当した人物。

荒木浩介

克弘の大学ゼミコでの同級生。中高生向けの教材を取り扱う企業で、今高3向け通信教材制作する部署にいる。
・萌絵 大学3年の時ゼミが同じ。卒業後は疎遠に。

 物語の概要:(図書館の紹介記事より。)
 
 直木賞受賞作『何者』のアナザーストーリー6篇を収録。光太郎が出版社に入りたかったのはなぜなのか。理香と隆良の出会いとは。瑞月の両親に何があったのか。拓人を落とした面接官の今は…。それぞれの人生の現実。
 
 読後感:
 
 各編の表題の付け方と中身になんとなくしっくり響いてこない。
 [水曜日の南階段はきれい]では、神谷光太郎の、夢に向かう外に向かっての態度と、片や荻島夕子の謎を秘めた行動が、卒業を終えた後に残された文集の表紙に記された内容に、夕子の秘められた夢が印象深い。

 [それでは二人組を作ってください]の理香がシェアハウスをするために迎え入れようとしていた朋美の、実は別の敦子と組む考えであったことから、喜ばそうとそろえた備品を調達に奔走していた徒労の結末がむなしい。「結局私は、自分よりもバカだと思う人としか、一緒にいられない。」とは。

 [むしゃくしゃしてやったと、言ってみたかった]は、姉と妹の生き方が、妹の異端児ぶりをしてきた人間の方が、人に伝えられることがあるとは、誠実に生きてきた人間にとっては耐えられないことであると同感。

 [何様]は就職して人事部に廻され、逆に人を採用する立場になったとき、そんなに簡単に人を評価することができるのかとの思いを抱く松居克弘。
 教育係の先輩君島女史の言葉が、皆同様に苦しみながら次第に会得してきたことを知ることに。
 さて、ほかにも作品があるも、それまでと比べ、何か同感するまでには至らなかった。


余談:

 図書館の紹介記事に違和感を覚える。「何様」の内容と微妙に違いがあり、先の「何者」の記録を見たら、なるほど「何者」のアナザーストーリーということが多少見えた感じ。
 でも、やっぱり変。 

 

                    

                          

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