朝比奈あすか 『あの子が欲しい』



              2020-09-25


(作品は、朝比奈あすか著 『あの子が欲しい』      講談社による。)
                  
          

 初出 「群像」2014年9月号。(「ザビエルが欲しい」を改題)
 本書 2015年(平成27年)1月刊行。

 朝比奈あすか
(本書による)

 1976年、東京都生まれ。慶應義塾大学卒業。2000年、ノンフィクション「光さす故郷へ」を刊行。2006年、第49回群像新人文学賞受賞作を表題作とした「憂鬱なハスビーン」で小説家デビュー。他の著書に「彼女のしあわせ」「やわらかな棘」「BANG! BANG! BANG!」「プールサイドの彼方」「憧れの女の子」「不自由な絆」などがある。

主な登場人物:

川俣志帆子 株式会社クケイズ・ドットコム(新々のIT企業)で来年度採用プロジェクトチームのリーダーを任せられる。
蟻川隆之介 プロジェクトチームのコアメンバー。20代後半、お茶目な一面。
馬淵達也 プロジェクトチームのコアメンバー。
30代半ば、大学の2学年下の後輩。口数少ないが穏やかに微笑んでいる。
笹原千夏 プロジェクトチームのコアメンバー。
志帆子の部下で未知数。無邪気なようで空気を読むのに長けている。
段田 株式会社クケイズ・ドットコムの社長。
採用決定は段田のフィーリングで決定する。
セキ 中堅の営業社員としてそれなりに認められていたが、オンライン小説大賞に応募して特別賞を受賞。小説を書くと会社を辞め、志帆子の家に転がり込み小説を書き始める。同棲というわけでもない。
小柳(おやなぎ)弘文 志帆子の弟と同じFラン大、最終面接前に志帆子が独断で青田買いをしようとした相手。

物語の概要:(図書館の紹介記事より。)

 新進IT企業「クレイズ・ドットコム」の採用プロジェクト・リーダーに抜擢された志帆子。採用最前線で闘う彼女が、最後に手にしたものは…。「就活」の裏側を超リアルに描く注目作。

読後感:

 去年の採用プロジェクトは不発に終わったことから、来期の新卒採用プロジェクトのリーダーに川俣志保子が指名された。専任のチームとして蟻川、馬淵、笹原の三名を選び、人事部の長谷川、水岡と動き出す。
 ブロッシャ(パンフレットのこと)撮影にも広告会社を通さないで自社主催のコンペで決めることに。

 クレイズ・ドットコムは弱小の新進のIT企業。
 色々工夫を凝らした作戦でプロジェクトを動かす様子とは別に、セキという中堅の営業社員であったが、グラム・ラインが主催するオンライン小説大賞に応募、特別賞を受賞したことから、会社を辞め(段田に切られた?・・志帆子評)、小説書きを目指し始めた。そんな彼を家で作業してもいいと暮らし始めたが、いつしか取り返しのつかない状態に・・・。

 またそれとは別に、日頃のストレスのはけ口に“HOFHOF”という猫カフェの“ザビー”というアメリカンショートヘア 生後1年の人見知りの猫に夢中になるが、そこでもまたジム女の存在に気持ちをかき回されることに。

 採用に関する圧巻は、志帆子が独断での青田買いをするシーン。小柳弘文に対する内定承諾書を書かせる駆け引きと小柳の反撃(?)。開き直った志帆子の結果は社長の段田の話で恐ろしい結果が待っていたが、社長はそこまでは考えていなくてかろうじてセーフ(?)に。
 いずれにしても、採用する側も、される側も大変さを思い知らされることかな。


余談:

 朝比奈あすか作品はこれまで「柔らかな棘」(2010年7月刊行)と「月曜日の朝へ」(2010年10月刊行)の2冊を読んでいた。本作品は2015年1月刊行とほぼ5年経っている。
 変化はあったか?変わったようで、変わってないようでよく分からない。
背景画は、自然いっぱいの素材集がErrorとなって消失してしまったので、背景素材無料のものからに。

           
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