有川 浩著 『図書館戦争』








                   
2015-02-25




(作品は、有川 浩  『図書館戦争』   アスキー・メディアワークスによる。)

            

 本書 2006年(平成18年)2月刊行。

 有川 浩:(本書より)
 
 高知で育ち、進学寺に関西へ。現在、ちょっと(かなり)怠惰めの主婦として関西暮らし10余年目。お国訛りが未だに抜けず怪しいニセモノの関西弁を操る。郷里を語るとちょっぴり熱いプチナショナリスト(県粋主義者)。第10回電撃小説大賞<大賞>受賞作「塩の町」(小社刊)にて作家デビュー。代表作は「空の中」「海の底」。小説誌「野生時代」(角川書店)にも不定期連載中。

◇ 主な登場人物:

笠原郁 新図書隊員(一等書士)。読書好き、高3の時の正義の人の言葉に感激し、図書防衛員志望。頭が悪くて感情的、女子としては体力あり。堂上は苦手、何かにつけぶつかり合う。手塚も同じく合わない。
柴崎麻子 新図書隊員、郁と同期。情報通、堂上には好意以上のものを持っている。
手塚光 新図書隊員(一等書士)。真面目で優秀で努力家、言うことは正論。郁とふたり図書特殊部隊に配属されるが、郁のことが我慢ならない。でも堂上からは「受け入れてやれ」といわれ悩む。
堂上篤(どうじょう) 二等図書正の鬼教官。
小牧幹久 二等図書正、別の斑の教官。堂上とは同期で仲がいい。穏和な人柄は女子隊員の人気あり。
玄田竜助(げんだ) 三等図書監。教官の中で唯一図書監で錬成教官の総責任者。
稲嶺和市 関東図書基地司令。5年前の“日野の悪夢”時の日野図書館の館長。


◇ 物語の概要:(図書館の紹介記事より)

 立てよ図書館。狩られる本を、明日を守れ。公序良俗を乱し人権を侵害する表現を取り締まる法律として「メディア良化法」が成立・施行された現代。図書館は、超法規的検閲に対抗する勢力となった…。有川浩最新作。

◇ 読後感:

 日頃図書館をよく利用している者として「図書館戦争」という表題の小説がどんな内容の者か興味を持った。
 読みだして図書隊員とか防衛員、関東図書基地とかメディア良化法とかなじめない言葉に戸惑う。読み進む内に昔の図書に対する悪書を取り締まったり、検閲制度のような体制側と図書館の意義を貫くせめぎ合いを取り扱っていることが理解できた。
 それと共に、感情的で直情的な新隊員である笠原郁と何かにつけ要領がよく、でも憎めない性格の相棒柴崎麻子、同じ防衛特殊班に配属となった頭が良くて、努力家で正論を吐く手塚光との間の毛嫌い、敵視同士のトラブル。指導教官の堂上、小牧の取り合わせの妙。錬成教官の総責任者の玄田たちの指導要領の泣き笑いが楽しい。

 郁が図書隊、特に防衛員志望の理由が高校3年の時、本屋で欲しかった本を購入しようとして手に取った瞬間、良化特務機関の隊員が検閲行為を執行!と。とっさに郁は万引きの汚名をきて守ろうとしたところ見つかり取り上げられようとした。その時に現れた正義の人、関東図書隊の隊員が味方。「万引きの汚名を着てまでこの本を守ろうとしたのは君だ」の言葉にころっ。面接でその話を披露。その結果・・・。
 最後の方でその正義の人は実は・・・・であったとは。
 郁の落ち込んでもへこんでも、そのままへこたれていることだけはない性格、即決即断速攻が性分が引き起こす諸々相手との出来事は、読んでいて痛快この上なく元気をもらえる作品でもあった。

余談:

 ラストの終わり方といい、あとがきから察するに続編が出てきそうな気配だった。
 本書の著者のプロフィールの表現が今までになくおもしろい紹介でいい。

 背景画は本書の内表紙を利用。

                    

                          

戻る