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　　　　　　　　　　　　　　2019-10-25

（作品は、安東能明著『第Ⅱ捜査官』　　　徳間書店による。）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　

　初出　週刊「アサヒ芸能」2012年3月29日号～22013年4月4日号。単行本化に当たりタイトルを改題し、大幅に加筆修正。
　本書　２０１３年（平成２５年）９月刊行。　

　安東能明（あんどう・よしあき）：（本書より）　
　
　1956年静岡県生まれ。明治大学政治経済学部卒。94年「死が舞い降りた」（応募時は「褐色の標的」）で日本推理サスペンス大賞を受賞しデビュー。2000年「鬼子母神」で第1回ホラーサスペンス大賞特別賞、10年「随監」で日本推理作家協会賞短編部門受賞。近年は「聖域捜査」「伏流捜査」等、警察小説で注目を集める。主な著書に「漂流トラック」「強奪　箱根駅伝」「螺旋宮」「撃てない警官」「12オクロック・ハイ－警視庁捜査一課特殊班」等がある。　　

主な登場人物：

神村五郎	蒲中刑事組織犯罪対策課（刑事課）盗犯係巡査長、37歳。元々高校の物理の教師、西尾美加の高校時代の恩師。並外れた捜査能力で署のナンバー２、人呼んで”第二捜査官”。
西尾美加	警視庁に入って6年目、この7月蒲中に赴任、盗犯係の27歳。神村五郎を先生と呼び、弟子でとおる。
樽井信男妻　好恵息子　涼太	刑事課暴力団対策係の係長、警部補、42歳。かなりの人情家。勉強嫌いの涼太に示しをつける為昇任試験を受けるべく励んでいる。武蔵小杉にマンション購入、ローン残っている。・涼太　高校3年生。フリーターでいいと。
蒲田中央署の関係者	・門奈和広署長・高部昭夫副所長、警視。・倉持忠一刑事課課長　管理職としてのスキルなきに等しいがプライドだけは異様に高い。・土屋警務課長・久保田地域課長・辻交通課長・関川俊則盗犯係の係長、警部補。・富田強行班係の係長。・志田進鑑識係員、巡査部長。＜盗犯係＞・小橋定之　空手4段の達人。デリカシーとは無縁の52歳。・青木要（かなめ） “イベリコ”渾名。家族持ちの34歳。・浜野靖彦巡査　若手。
墨田署の関係者	・斉藤刑事課長・高山裕久巡査部長

佐竹朋子（ともこ）夫　満夫	夫妻は8月末世田谷から蒲田の新築マンションに引っ越し、3年ほど同居の末、今度の転居を機に婚姻届を出したい、34歳。・満夫　食品会社の営業職、1昨年の秋辞めている。
寺元興業	広域指定暴力団倉松会系の二次団体。常任相談役。・寺元昌道　寺元組の五代目。神村は寺兄いと呼ぶ。・八重樫洋介　若頭。不動産シノギが専門の外様。・奥田利政　ハエ抜き、順当なら奥田が若頭。
永友組	倉松会を本家とする系列の二次団体。28歳で組持ち、寺元昌道と同じ常任相談役。・永友竜一　組長。本名愛斗（あいと）。・海野　若頭。
白石千明	スワンの美人ママ。永友組長の愛人。

物語の概要：（図書館の紹介記事より。）

　元高校教師の刑事・神村五郎。夫を刺した容疑者が、取り調べを担当した神村の同僚とともに失踪し、数日後、死体で発見された。心中か、それとも…。元教師とその教え子の迷コンビが事件に挑む長篇警察小説。　

読後感：

　佐竹朋子が夫（満夫）を刺したとして、取り調べを担当の樽井信男が、同席の浜野巡査が席を外した時間を利用し、二人が公用車を使って失踪した。
　二人の居場所に神村が美加を呼びつけ二人の死体を発見することに。何故神村がその場所を掴んだのか、美加は知らない。
　とにかく神村の行動は美加に謎のことがいろいろ。

　神村と門奈署長の関係も、神村の能力をかっているせいかなんだか不思議。倉持課長が神村を嫌っているのがわかる。
　二人の死は青酸カリでの服毒死だが、どうやら佐竹朋子と樽井係長の死には二日間の嵯があることが分かる。（死体の腐敗に差がある）

　この謎解きと共に、暴力団の抗争（寺元組と永友組）が絡んできて佐竹朋子と佐竹満夫の関係、永友組の偽造薬の密売、佐竹満夫のバカラ賭博の2000万の金の持ち逃げ等が絡み、長編小説となっていった。
　神村先生と一方で何かと疑問を感じる美加の疑問、心の叫びが随所に入り、奥行きを出しながら物語は終盤、神村と寺兄いの種明かしに収束していく。
　なかなか面白い物語であった。　　

余談：

　久しぶりに安東能明作品を読んだ。割と短編小説が多かったように感じたが、今回は450ページにのぼる長編小説。間延びすることなく、でも暴力団関係の内容が多かったが、人間的なものがあり、読みやすかった。ちょっと神村五郎のキャラが、奥田英朗の「空中ブランコ」の精神科医伊良部一郎が思い出されて・・・。何故だろう？

背景画は、自然いっぱいの素材集がErrorとなって消失してしまったので、背景素材無料のものからに。