主な登場人物:
久保田和夫(61歳)
妻 郁子(56歳)
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兵庫県養父(やぶ)市出身、ギャンブル好きでサラ金から借金、返済の目処がついたと上京し、2010年11月8日東京山手通りの千早公園で縊死体で発見される。
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横山菊枝(69歳)
夫 牧夫
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久保田和夫の姉、菊枝の証言によると、和夫は末っ子で親から猫かわいがりされていた。
横山家所有の芋畑から9月3日、30年前位の白骨体が発見される。 菊枝の両親がアパート“たちばな荘”を経営していたが、20年近く前に死亡、廃業し今は芋畑になっている。
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秋津省吾
妻 佳代子
息子 直哉
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地元(養父市)でなく、九州出身の転勤族であったという。30年ほど前に“たちばな荘”に住んでいたが、行き方不明に。 そして妻の佳代子は5年経って病死。
子供の直哉は“たんぽぽの家”という施設に入れられる。 ただ、生まれた時金髪碧眼であったため、夫婦仲は揉めていた。
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戸田克己
妻 頼子
娘 美由紀
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警視庁捜査一課警部。東京山手通り千早の小さな公園で久保田和夫殺しを担当。 アリバイ崩しと殺人の動機探しに頭を悩ます。娘の美由紀の若い人の考えをヒントにして・・・。 |
河合信二 |
目白警察署刑事。 久保田和夫殺しの相方担当。 |
近藤雅彦 |
養父署の刑事。 白骨体事件の担当。 |
鈴木太郎
本名 掃部昌樹(かもん)
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カメラマン。小さい頃秋津直哉と同じ施設にいた。出身は兵庫県西宮市。 |
◇ 物語の概要: 図書館の紹介より
400年前千葉沖で沈んだスペイン船、30年前に消えた男、そして現在、東京で発生した殺人事件。 3つの点が繋がった時、運命に翻弄された男の悲しき人生が暴かれる…。 野望と愛憎渦巻く書き下ろし長編ミステリー。
読後感:
最初に慶長14年(1609年)という400年以上も前の話が出てきて、はてと思ってしまった。20年、30年の前ならいざ知らずに。
そして30年前の白骨体が発見される。何か因縁はあるのだろうと思うが、話をまずは見守ることに。
「氷の華」で登場の戸田刑事が登場し、ねばり強い探索と推理が展開される。前作では戸田刑事と瀬野恭子のプライドを掛けた駆け引きに現実味があり、興味をそそられたが、今回の場合、ちょっと親近感というか犯人ではないかと思われる鈴木太郎というカメラマンに魅力を感じるところがなく、400年前の話といい、絡みがイマイチといった感じで、なんとなくどっぷりと物語に引き込まれることがなかったようである。
ただ、殺された久保田和夫に最後に会ったと思われる鈴木太郎のアリバイ崩しと動機の解明が徐々に明らかになる過程はなかなかおもしろかった。
小説って登場人物の人物像に魅力を感じたり、ユーモアがちりばめられたりするものがないと印象に残る作品とはならないようで、「氷の華」、「目線」に比べると物足りなかった。
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