アガサ・クリスティー著
                  『スタイルズ荘の怪事件』




                      
2013-06-25

 (作品は、アガサ・クリスティー著『スタイルズ荘の怪事件』 文庫による)  


                  
 

 本書 2003年(平成15年)10月刊行。

 アガサ・クリスティー:(本書より)
 
 1890年、保養地として有名なイギリスのデヴォン州トーキーに生まれる。1914年に24歳でイギリス航空隊のアーチボルド・クリスティーと結婚、1920年には長編「スタイルズ荘の怪事件」で作家デビュー。1928年にアーチボルドと離婚、1930年に考古学者のマックス・マローワンに出会い、嵐のようなロマンスののち結婚。1976年に亡くなるまで、長編、短編、戯曲など、その作品群は100以上。大英帝国勲章が授与されている。 
 
 矢沢聖子:
 1951年生まれ、津田塾大学卒、英米文学翻訳家。

主な登場人物たち

エルキュール・ポアロ ベルギー人探偵。第1次大戦中にイギリスに逃れてきた亡命者。ミセス・カヴェンディッシュ(再婚してエミリー・イングルソープ)に大変世話になった。

ヘイスティングズ大尉
(わたし)

戦争が始まるまではロイド保険協会に、傷病兵として前線から本国(イギリス)に送還され、疾病休暇中。友人のジョン・カヴェンディッシュの元に。

ジョン・カヴェンディッシュ
妻 メアリー
ジョンの弟 ローレンス

ヘイスティングズより15歳も年上(45歳)の弁護士であったが、地方の名士の生活を選ぶ。
ジョンとローレンスの息子二人は先妻の子。父親は再婚相手のエミリーのために十分な資産を残し、亡くなる。
ジョンの妻メアリーは美しい瞳の魅力的な女性。
ローレンスはスタイルズ荘に暮らしながら文学で名をあげることを夢見ている。

エミリー・イングルソープ
(ミセス・イングルソープ)
夫 アルフレッド

ジョンの母親(義理の母)はエセックス州のスタイルズ荘に住む。エネルギッシュで自分名義の財産も相当。70を超えていて、最近秘書に採用した男と再婚。
夫のアルフレッドは20歳も年下。エヴリン・ハワードのまたいとこ。

エヴリン・ハワード
(ミス・ハワード)

エミリーの友人。エミリーの夫アルフレッドを悪党呼ばわりしている。

シンシア・マードック
(ミス・シンシア)

エミリーの旧友の娘。薬剤師。
ドーカス メイド頭
マニング 庭師
ジェームズ・ギャップ スコットランドヤードの警部。
サマーヘイ 同 警視。
ウィルキンズ エミリーの主治医。
バウアスタイン博士 毒物学の世界的権威。村に静養に。ジョンの妻メアリーとしげしげ逢っている。

読後感:
 
 さて、待望のアガサ・クリスティーの作品を読むに当たっては、やはりポアロが最初に登場する作品を読みたいと、第一作の本「スタイルズ荘の怪事件」を読み出した。
 この作品、1920年に出されたということで90年以上も前の作品である。新訳と言うことでもあり、古めかしいという内容とも感ぜずにおもしろく読めた。

 ただ、いつも翻訳物の宿命でもあるのか、人の名前が頭に入ってこないのにはイライラさせられる。フルネーム、ミスター、ミセスでの呼び方、さらには呼称と取り混ぜて出てくるので、人物を特定するのに時間がかかってしまうこと。
 
 やっと区別できるようになって話の本筋に没入することが出来た。さらに謎が絡んでくるともういけない、読書の不便な点が即出てくる。これが映像であると人物は名前が分からなくても人物は認識できるし、時間の経過もちゃんと演出の方で整理されているので頭脳もすっきりと作品の中に入り込める利点がある。
 初期の作品だからそうなのか、翻訳物だからそうなのか、まあもう少し作品を多く読んでみてのお楽しみである。

 とはいえ、ポアロの性格、ヘイステイングズの人となり、ジャップ警部の人となりを知るには最初の作品は貴重な体験でこれからが楽しみ。
 さらには、テレビでは見ていたポアロやヘイステイグズやジャップ警部の言葉使いや行動の印象が、小説の作品の中と全くと言っていいほど合致していてそんな点にも興味が尽きなかった。
 


余談:

 若い頃定年になったらどこか静かなところでアガサ・クリスティーのミステリー作品を読もうと思っていた。それがやっと10年経って読むことになろうとは。それまでに沢山の本があったということか?とはいえ、100作品位はありそうなのでこの後も気長にぼちぼち読んでみたい。

背景画はイギリス ロンドン・ウィークエンド・テレビ製作放映の探偵ポアロ(主演のデビット・スーシェ)のフォト利用。

                               

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