定用5G帯トランスバーターの製作(2001/Sep−Oct)

9月5日 せっかく直下用のアンプを作ったのだが、アンテナはまだうまく上げる方法がないし、どうも上まで引っ張る同軸がイマイチ定まらない。うーん・・・何かいい手はないかと考えていたら、「やっぱり直下にトランスバーターごとあげたらいいんじゃないか」と思い出してしまった。そこで、手持ち部品を考えると、なんとか大半は足りそうだ…。去年のハムフェアで買った5G用のDBMがあるので、あれを使うことにしよう。ドレークのPLL−LOも改造したのがあるので、あれを使ってLOにして、局発が7mW程度は出るからいいんじゃないかな・・・
 と口に出してもよくわからないのでブロック図とすると・・・

                               →送信部アンプ−前に作ったPA− 2W弱の出力
                              |
   1.2G TRX⇔ISORATOR⇔DBM⇔ISORATOR
              ←      |        |
                                             PLL                 ← 前に作った受信部アンプ − 受信信号
                    LO
                    4480M

 こんな感じでどうだろうか。これだと「送信部アンプ」さえ作れば、他はユニットごとに既に調整もしてある。入力部のアイソレターは送信時には20dB程度のATTとして働き、受信時には信号が親機に出ていくので便利だろう。また、DBMの出力をアイソレーターで振り分けたら、リレーも一つで済むんじゃないかな・・・。自称、画期的な手抜き構成である。
 そこでまず、ハムフェアで「展示用バラックトランスバーター」に使おうと思っていたアンプを一つ組んで見た。FETには、サトーさんで安かったNE329S01を二つ並べた。これだと最大30dBものゲインがある。そこまでなくていいだろうし、この出力で50mW出れば、PAを押せるかもしれない。・・・

9月18日 5Gアンプが出来たので、調整をしてみた。いつもように実験用の発信器とATTをつないだもので入力をして、出力をスペアナで見る。あとは、爪楊枝の先につけた「スタブ」でゴソゴソと探る・・・おっ、出た出た・・・。蓋を閉めると発振したりしたが、FETのソースをはんだ付しなおしたりしたら、止まった模様だ。ふむふむ、これでいけるだろう。ゲインは25dB程度はある。
 試しにこれに少し大きめな出力(と言っても1mW程度)を入れて、パワー計をつなぐと25−30mW程度で飽和している。さて、これをDBMやLOとつないで、1.2Gを入れてみた。すると20mWくらい出ている。うしし、これをSHF講習会でみていただこう・・・。
  でも、その前にアイソレーターの具合を見ないといけないかな・・・とアイソレーターに受信部のアンプをつないでみた。すると・・・なんと!!送信出力が10dBも落ちてしまうではないか・・・。こりゃあどうするかなぁ…。

9月23日 いつもながらのバラックをSHF技術アドバイス講習会に持ちこんだ。スプリアスは・・・なかなかよろしい。5.1Gあたりに不明なものがあるが、−40dBはとれている。20mW以上は出ているので、これで使えそうだ。あとの問題は、アイソレーターでやるか、リレーで切りかえるかだなぁ…。でも、20mWではどのみちPAを押すのに少ないので、もう一つの5Gアンプを作るべく、帰りに池田さんで1302を買って帰った。

9月24日 そろそろバラックだと壊れそうなので、アルミ板に取りつけてみた。また、昨晩、1302 を二段使ったアンプを作ってみた。これを今日、調整したみたら、120mWは出る。これならPAがドライブできそうだ。また、アイソレーターに受信部をつないでも送信は120mWを確保できそうだ。よしよし・・・。

9月24日 受信部はどうだろうか・・・と考えて、受信テストをやってみた。と言っても定量的ではなく、簡易マーカーの信号を受信して、だんだんマーカーを持って離れていき、どこまで聞こえるかを試すというものだ。比較対象は今のトランスバーター。
 でも、どうもノイズは少ないのだが、感度が悪い気がする。

9月25日 受信感度をあげるのに、ポストアンプをいれてみよう、と思い立った。そこで、前に作ったMMIC二段のアンプを探し出したが、どうも妙だと思ったら、発振しているらしい。それでも、これを入れるとグッと感度が良くなる。よほどロスが大きいに違いない。

9月27日 YAMA-MLで「ポストアンプではNFはよくならないよ。ロスが大き過ぎるだけではないかな」と指摘していただいた。そこで、なんでだろ・・・と思案していたら思いついた。「あっ!!DBMに内蔵されているBPFが曲者なんじゃないかな!!」・・・だいたい5.1Gあたりがプロ用では一番使うのではなかったかなぁ。
 そこで、テストにはいる。どうするかというと、受信部の入力に簡易マーカーを直接につなぐのだ。こうすると、12.8M毎に信号がズラズラと並ぶ。5Gでも強いのだ。そこで受信出力をスペアナにつないでみた。すると・・・あらら600Mあたりにしか山がいないぞ!! という事は 4480+600M=約5100MあたりにBPFがあってるに違いない。そういえば、前に槇岡さんに見ていただいた時に、5.1Gあたりにスプリアスが出ていたが、あれもこれが原因かもしれない。

 じゃあ、BPFを少し削った同調するだろう・・・と思ってやってみたがあまり改善がない。えーい、バイパスしてしまえ!!とジャンパーしてやったら、今まで見えなかった1.2G〜1.4Gあたりの山が高くなった。このあたりにアンプの同調点があるはずだから、理屈としてはこれでいいはずだ。
 この状態でアンテナをつなぎ、マーカーを手に持って歩くと、現用とだいたい同じ感じになってきた。まあ、あとは同軸のロスによってポストアンプをいれるかどうかだなぁ。ただ送信には、これではスプリアスがちと心配だ。そこで3セクションのBPFをアンプ1とアンプ2の間に入れてみた。これでさらにPAの後にもインターデジタル5セクションが入っているからいいのではないかなぁ…。

10月4日 そろそろケースに入れないとどこかをいじっていて壊すので、サトーさんに出かけてMB6を買ってきた。今度はPAも内蔵して、結線してみる。スタンバイもなくちゃぁねぇ。で、ともかくつないでテストすると1.2−1.5Wの間を示している。ちょっと少ないかな。
 また、リピーターも使いやすいように、5760Mを1296Mにするための水晶を注文することにした。これだと受信改造のC601とかでもって、リピーターにアクセスできる。霞ヶ関か保土ヶ谷、どちらにも届くといいんだけどなぁ…。注文は少し高目だが信頼できるアルト電子にすることにした。なんと言っても、ドレーク内蔵トリマーだけで周波数があうので安心できる。それに、今日、アルト電子のWEBをみたら、ちょうど百番の切れ目だったので、20%割り引きとなる。うしし、うれしいなぁ。早くくるといいなぁ。

10月14日 SHF技術アドバイス講習会。これで受信ゲインをはかっていただく。と、「あれぇ、−20dBだね」との恐怖の結果??送信も1Wくらいしか出ないし、ガクッと落ちる。 調べてみるとLOの出口が断線していたので、再度挑戦。
 でも、「うーん、変換ゲイン0dBだね」とのこと。ぎゃあーーーー。原因を探っていくと、サーキュレーターのロスにある模様で、これをはずすと6−8dbのゲインがある。うーん、やはり6G用では限界かなぁ。これは基本構想に問題があったという事か…。

10月17日 仕方なく、本体をバラバラにしてしまう。再度組みなおすのだ。今度はアイソレーターで振り分けるのを断念。同軸リレーをもう一つ使って、切りかえる事にした。で、くみ上げる・…。

 受信部は推定で8dB弱のゲインが出るようになった。これはDBMのロスだから仕方がない。まあ、ノイズは少なめだから、Sメーター振らすには、ポストアンプを入れるのだろう。で、調べてみるとJA1DWOさんの記事にもその程度でもNFがよければよいととれることが書いてあった。(我田引水…。趣旨が違うかも…)
 
 送信は何度かやってみると、どうも出力が不安定だ。かくっと減る時がある。また、ジワジワと減っていく。各ステージの出力を確認すると、ドライブ段までは安定しているので、PAの問題か、その後のリレーとかの問題らしい。 同軸リレー二つを入れ替えたら、そこそこ安定しているので、これが一番臭いのだが、どうなんだろう。また、PAの出口では2W弱出ている。その後のセミリジットがもおかしいのかもれない。 それにしても、測定だけしていても仕方が無いので、次の日曜日にでも、一つロールコールを使ってテストしてみよう。

10月20日 今日も出力不安定の原因を探るべく、いろいろやってみた。すると、どうもやはり、同軸リレーの一つがおかしい模様だ。仕方なく、オークションでもう一つリレーを調達することにした。

10月21日 リレーはまだ交換していないのだが、受信が不安なので、夜のロールコールにこれで「出陣」してみた。21時過ぎに機材をセット。周波数をだいたいこのあたりだ・・・とやってみたのだが、後で気がついたのだが、うっかり100Kほど勘違いしてしまっていたのでなかなか聞こえない。(当たり前だ・・・)
 で、ダイアルをグルグルやっていたら、90Kほど上で、小田原のJA1FS局の信号が、関係ないビーム方向で入ってきた。あわせる間もなく、すぐに丹沢ビームになったので、丹沢に向けて聞いていると、鎌倉のJA1ELV局が59で入ってきた。続いて、キー局のJA1CUY局の信号がFS近くで入ってきたのでホッととした。さて、呼ばれる順番だぞ…。
 コールしたら一発で返事があった。でも、続いて送信していたら、なんと親機の電池が切れてしまった。イカン…。途中で途切れてしまい、菱木さんに手間をとらせてしまった。申し訳ありませーん!!
 でも、これで一応、使えるもののようだという事は確認できた。ストアンプの準備もしておきたいが、まあ、とりあえずは使えるな。

10月22日 夜にリレーが到着したので、交換してテストしてみた。今度は大丈夫なようだ。出力はやはりBPFのロスで1.2W程度だが、まあ、よしとしよう。スプリアスをバラ撒くよりは、いいだろうからねぇ。あとは、水晶が来るのを待つばかり・・・。早く来ないかな。

*結局、構成図は次のようになってしまいました。
 

                   NE329−NE329−BPF1−MGF1302−MGF1302−MGF0904−MGF0904x2
 to                      |                                            |
1.2G---ISORATOR---DBM--COAX                                          BPF2
TRX         (←)      |   Ry                                            |
              MUL    |                                           |
             FSC11LG  −−−−−−−−−−−MGF1302−NE3210S01− COAX Ry −
                  |                                              ||
             DRAKE                                         5G ANT
                             OSC                                  *BPF1 1/4λ三段
                            2240M               BPF2 インターデジタル 五段

11月3日 直下用の5GTRVで使う水晶がなかなか来ないなぁ…と首を長くして待っていた。でも、今晩、帰宅したら到着。そこでがぜん、ハッスル。TRVについているドレークのPLL−OSCを外して水晶を交換した。さて、調整なのだが、先日、EIP451が壊れたので、ダメかなと思いつつ、秋月の3Gまでのキットの奴でOSCの出力部にあててビックリ!!なんと44640256Ghzなんて表示が…。4G計れるじゃん!?
 
 そこで、これでトリマーをいじって、ほぼ4464Mにあわせました。この状態で、5G TRV一号でメインを送信するとちゃんと聞こえた。また、逆も同様だったので、OK。ところが、どうも出力が出ないので、再び四苦八苦。原因はお粗末…OSCの出口でのショートとセミリジット接触不良!!!。直してからTCXOマーカーの信号を聞くと10Khz高い気がする。でも、どうもこのTCXOが高目だという感じもするので、あっていることにしよう。(?)

11月4日 昨晩、水晶を交換した5G−TRVでロールコールでの動作確認をしよう…とだいぶん涼しくなった(?)ニ階のベランダに出陣。セットしてから他のことをして、時計をみたら9時20分近くで、焦って、ベランダに出た。
 が、なかなか聞こえないなぁ、と思ったら、ガサガサと言って、丁度、菱木さんが厚木をコールしているところ。でも、なんだかSが弱く、3くらい。前回は9+だったのになぁ。ビームを合わせそこなったからか???。だいたいの向きはあっているはずなのだが。
 そう思って戻って、部屋に戻ってから再度テストすると、どうもやっぱり感度が悪くなった(?)感じ。SGの信号を入れて、現用ワンボードのトランスバーターと比較してゲインで−20dBくらいだ。前回は−15dB程度になったはずなのだが。いじっていてどこがおかしくなったかなぁ…。確かワンボードの奴は変換ゲイン20dB程だったと思うのだが、もう少しあったかしらん…。

まあ、また来週、テストしてみよう。それにしてもガックリ…。

11月5日 夜中に帰宅してから、受信が妙な感じの5G−TRVをいじった。どうやらTRV出口の工作が、いつもながらのイーカゲンだったことが原因のようなのだが、蓋をしめると送信出力がでなくなったり、感度が落ちたり、妙なことでしばらく四苦八苦。(まだ解決をみてないhi)

 さて、そこでとりあえずSMAで接続されている所からの信号を親機につないで、「感度の測定をやろう」と考えたのはよかったが、どうも方法が混乱してしまった。
0)SGで入れてゲインを見ても、ノイズとの関係がわからないので、今度は簡易マーカーを使って、ワンボード基板を使った一号機との比較をしよう。
1)まずマーカーとTRVにホーンをそれぞれつけました。この方が妙な信号をひろわないようだ。ホイップでやったら自分が動くだけで反射がかわってしまう。これを
部屋のTRVとは逆の端においてホーンを向けた。距離2mほど。
2)二台のTRVを並べて、ホーンを交互につけて比較をする。親機も切り替えて使い、これで同一信号に対するS/Nがどうかわるかを比較できるのではないか、と考えた。
が、ここから先がよくわからなくなりました。耳で聞き比べただけでは、やはり「ひいきの引き倒し」で自分の作った物に甘くなるのがオチ。ここから先の比較方法はどうしたものかと思案しているうちに眠くなって寝てしまった。

11月6日 今日は定時で帰ってきたので、晩飯を作る前にいろいろやってみた。槇岡さんに聞いてみたら
   >以下はの測定法でよいでしょうね・・・・・ANTをホーン(3dB〜4dBd)
   >とか、10dBぐらいのGainのはっきりとわかっている電磁ホーン等が
   >良いのではと思います・・・・・
  とのことだった。でも、ゲインはよくわからないので、ともかく「聞き比べ」に徹することにした。とりあえずTRV並べておき、2mほど離れた台の上においたTCXOマーカーにつけたホーンで信号を出す。TRV側も同じホーンをつけて一番良い場所になるようにマーカーの位置を横にわずかに動かす。TRVからの受信出力信号はIC1271でつなぎなおして聞く。 (こいつはプリアンプもON/OFFできる)
   (以下、ワンボードのTRVをNo1 新作をNo2)
1)まず、そのままで無信号時・・・
 No.1 ノイズでS6程度
 No.2 ノイズが僅かに増えることを確認   プリ(ポスト)アンプONするとS8程度になる。
2)TCXO マーカーON!!
 No.1 S9程度
 No.2 S2程度 
 ただし、ノイズの感じは位置をそれぞれ調整しても聞き分け困難で、両方ともほぼノーノイズ。リ(ポスト)アンプをONすると No.2でも当然59++。

3)TRV側のアンテナに10dBのATTを挿入。
 No.1 S6+ わずかにピークでSが振る。
 No.2 S1− Sメーターはともかく一応信号があることはわかる。両方ともそんなに違いは無いものの、ややNo1がよい感じ。ここでプリアンプ(ポストアンプ)ONすると少しだけ認識度があがる。でも、劇的な変化はやっぱりない。

4)ATTを13dBに増量(?)する。
 No.1 FMモードではほとんどわからない。SSBでは確認できる。
 No.2 FMモードではやはりほとんどわからない。SSBでは確認。ただ、SSBでの音量はNo.1の方がよい。

・・・以上の実験結果から、このNo,2は変換ゲインは大変に少ないがそこそこのN/Fで感度的にはあまりNo1とは違わないのではないか。Sメーターで方角をあわせるためには、プリ(ポスト)アンプがあった方がよいが、それ以外はあまり問題はない?????というひいきの引き倒し型の結論を出した???さーてどうでしょうか。

11月7日 今日も定時で帰ってきた。で、ON−AIRミーティングにてあれこれと槇岡さんに質問してみた。要点は「ポストアンプは受信感度(NF)の改善には基本的には結びつかないが、直下TRVのゲインが低く、ケーブルロスがその半分にもなるような場合には、有効となる」とのお話しでした。ケーブルのロスが直下装置のゲインの半分までの場合は、さほど影響はないんだ、との事だった。

 で、ゲインが少ないんですが・・・というと、「それはやっぱりポストアンプを入れた方がよい」との事で、ワッチしながら基板のパターンをマジックで書き、エッチングして、インチキ両面基板(アース面は、張りつけテープ)製のリレー切り替えつきポストアンプを作ってみた。
 アンプには、最初は、MMIC(2708)を使おうと思ったのだが、回路を間違ってエッチングしてしまったので、手持ちのERA-2あたり(実はどれだかよくわからない…hi)をつけた。送受切り替えリレーはG5Yを二つつけて、Nコネに基板を半田付けして縦長に少しはみ出す感じにしてみた。
 今日はハンディにつないで、リピーターDLを聞いてアンプが動いていることを確認したまでで寝てしまった。S4−5の信号がS9+(FS)になったので、まあまあのゲイン。あまりゲインがあってもノイズアンプになるだけなので、まあよいだろう。

11月8日 夜中に帰ってから、送信用のATTを取りつけ、一応は物体としてはできあがった。まだ動かしていないのだが、明日は夕方にはとりかかれるはずなので、テストもできるかなぁ…。

11月9日 今日は定時に帰って、さっそく残りの配線をやってから受信テストをしてみた。すると、今度は2mはなれたマーカーは、はっきりとSが振るようになった。空Sはハンディ機ではあまり感じないが、UTV120B+FT817で聞くと、S2つから3つ位の空Sがある。まあ、これならケーブルを入れるとあまり感じなくろうろなるだろう。
 送信の方が、最初は結合部のチップコン0.5Pでは容量不足で動かなかったが、1Pにしたら快適に100mW以下で動作するようになった。損失も心配だが、まあ、ゲインのあるアンプを入れたから無視してもよいだろう。
 最後にケースの出力部のSMAの穴をあけなおした。ちょうど防水ケースの上下を勘違いしてつけてしまったもので…。ボリボリ…。さーて、これであとはあげるだけ なんだけど、どうやってあげるかが一番の問題ですね。