吉祥寺駅で待っていました。その日は、大好きな人が東京を離れる日です。
台風が近づいていたようで、外は雨降り。傘の花がゆっくりと町を流れていきます。
少しばかりの花束を手に、どんな言葉をかけてやったらいいのかなぁ、なんて考えながら。
その彼女とは、もう二度と会うことはないでしょう。
最近、ちょっと想い出にチクンと針を刺すような出来事がありました。けっして悪い事
じゃないんです。
むしろステキな出来事。若き日の情熱を呼び起こしてくれるような...。
ありがとう。
雨が降る日は、こころも少し曇りがち。ただ沈んでいるばかりじゃないけど、ちょっと
昔のことを想い出します。
しかし、待てども待てどもその人は現れません。日曜日ということもあってか、
駅では待ち合わせをする人が多く、相手が現れるとそれは嬉しそうです。
みんな幸せなんだろうなぁ...なんて考えながら、30分、1時間と時が過ぎていきます。
別れの予感を感じながらのこの時間は、たまらなく長い時間に感じられました。
半ば諦めかけたその時、見慣れた女性が現れました。だいぶ遅れての到着でした。
どんな言葉をかけたかは覚えていません。花束を受け取った彼女はただうつむくだけ。
ただただ嬉しかった。本当に嬉しかった。来てくれたことが嬉しかった。
それから、1つの傘で吉祥寺の街へ。お気に入りのカレーの店「まめ蔵」に入り、
コーヒーを。カレーは食べたっけかな?
窓の外の風景がステキです。雨に濡れてしっとりとした路地を歩く人。
電車で行くと言った彼女の言葉を振るきり、車で。一路高速道路へ。
その日からから、東関東自動車道は慣れた道となっていきました。