5.4.4 寿命

卵から成虫までの時間を数えると、Lucanus cervusの場合は8年にも及ぶ。しかし成虫としての寿命を意味するならば、活動期間にしてわず

か4から8週間を超えられるかどうかというところである。雌は産卵が終われば死んでしまうし、雄はNADOLSKI(1976)によれば、他の多くの本

の著者同様ペアリングの後8から12日間(それ以前に地下に潜んでいるのであるが)程度で死んでしまうとされる。この甲虫の寿命を前年の10

月から数え、活動開始を6月とするならば、この成虫の寿命は約10ヶ月とする事ができる。
 
 

世代を重ねるにつれ、それぞれの群落の内部においてはそれぞれどんどん互いに混交配を重ねていくものだと考えられる。たった一つの木の

切り株から場合によっては様々な段階の幼虫と成虫が隣り合って見つかる事がある。通常の1世代の流れの例としては、Sinodendron

cyllindricumのものを図48にあげておく。中央ヨーロッパの全ての種類においてこの割合は似たようなものであると考えられるが、幼虫期間の

段階だけは、多かれ少なかれ非常に延長される場合があるようで、例えば、Lucanus cervusでは通常の場合でも5年を要する。1世代の継続

期間はなんといっても気候の影響や、栄養の不足によってより長くなったり短くなったりもするのである。

(図48) Sinodendron cylindricumの世代交代Orig.

 
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