「怪説・世界のクワガタ」 第9回 ミヤマクワガタ (2)

A.CHIBA




fig3

fig3の左は Lucanus maculifemoratus taiwanus タカサゴミヤマクワガタ。台湾のミヤマクワガタの中では一番個体数の多い種らしく、標本も比較的安価で数も多く入っている。最大サイズは80mmを超えるが、現在そのサイズを手に入れるのは難しい。大型は幅も出てなかなか良いミヤマクワガタ。
真ん中は Lucanus lunifer lunifer 北インド Khasi Hill 産。分布は北インド、シッキム、ネパール。♂♀とも全身に金色の微毛がはえているが、活動すると擦り切れてしまうのかあまり残っていない個体も多い。最大個体はやはり80mmを越え、そこまでになると大顎の先端は大きく開き非常に迫力が出るが、そのサイズは非常に希。北東インド Assam には Lucanus lunifer franciscae とされる亜種がいて、希なのか標本は高価だが小型個体では前種との区別は難しい。
右は Lucnus fryi 北タイランド Fang 産。ミャンマー、北タイランドに分布。最大でも70mmの後半程度までにしかならないようである。タイランド産の標本は良く見かける。




fig4

fig4左、Lucanus villosus ネパール産。サイズは大きくても70mm前後で、希な種なのか以前から標本はあまり見かけず、普段見かける標本は大きくても60mm程度で価格も結構高い。分布はネパールだけのよう。
真ん中の写真は Lucanus tibetanus tibetanus で Lucanus lunifer と似ているが 頭部のカタチと大顎が少し違うなどで区別は付く。また Lucanus lunifer は♀でも微毛が体全体に生えているがこちらは少ない。写真の標本はかなり古いもので、付いていたラベルでは中国雲南省に分布、 種名 Lucanus pseudosingularis となっていた。また Lucanus singularis とされるラベルの付いた本種の標本も見た事がある。この種の標本は今までに古いものしか見た事がなく最近採集されていないようである。
一番右は Lucanus tibetanus katsurai 世界のクワガタ虫大図鑑で前種の亜種として記載された種で違いは歯型と頭盾ぐらい。♀も見る事が出来たが前種と良く似ている。北ベトナムのサパ産でサイズは70mmを超えるものもいる。


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