「怪説・世界のクワガタ」 第9回 ミヤマクワガタ (3)

A.CHIBA




fig5

fig5左の2頭は Lucanus kanoi kanoi クリイロミヤマクワガタ、台湾合望山産。サイズは大きくても 60mm程度にしかならない。台湾北部のララ山には ssp piceus が分布しておりこの亜種は黒く艶がある。また、台湾中部には本種と良く似た Lucanus kurosawai Sakaino がいる。
一番右の種は Lucanus ogakii で台湾中部碧緑神木産。やはり前種に似るが黒味が強くずんぐりしており小型で大きくても40mmを少しこえる程度。どの種も少なく採集されないのか標本は多く見かけない。




fig6

次のfig6左は Lucanus dohertyi で北インド Khasi Hill産。昔この種の標本がインド産ミヤマのうちでは一番沢山日本に入ってきた種だった。しかし、現在多くは入っていないようで標本は以前よりも見かけなくなってしまった。50mm 以上になるものは少ない。
真ん中は Lucanus smithi でやはりインド北部、ブータン、あたりに分布。この種はかなり少ないのか標本はあまり見かけず有っても高い値段が付いている事が多い。色合いなどは前種に似ており、頭部は良く発達していてカタチは良いクワガタ。サイズは 50mm を越えないようで前種よりも小型。
右は Lucanus westermanni 北インド、ネパールに分布しており、体色は黒く艶が有る。この3種の中では平均して一番大きくなるようで 50mm の後半ぐらいにはなるようだ。


                                                           参考文献
                                                           世界のクワガタムシ大図鑑
                                                           月刊むし No115 1980
                                                           月刊むし No292 1995
                                                           日本の昆虫 (8) ミヤマクワガタ
                                                           昆虫と自然 I99OVol.25 No.7


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