8 中央ヨーロッパのLucanidae属の種

ヨーロッパにおける全体的な分布を示す分布図が、ほとんどの種についてここに与えられている(図49a-f)。これ以上の地域については口頭の

ものしかない。こうした記載に関しては、実際的に基礎となるものとしてHORION(1958)によってまとめられた分布一望があり、これには

ALLENSPACH(1979),BALTHASAY(1952),BERGER(1976),CUPPEN(1992),ENDROEDI(1956),HORION(1951),KOCH(1989)<KRIKKEN&PIJPERS
((1982),LANDIN(1957),MARTIN(1993),MIKSIC(1955),MUELLER(1937),PALM(1941,1950),PAULIAN(1941),PAULIAN&BARRAUD(1982),及び

RORTH&MICHELSEN(1962)の仕事が係わっている。

ここからそしてその独自の観察から重要な生活空間や発展地域、あるいは全ての既知となった木の種類が一緒に考察され、それによって

キノコによって準備される木材を通して適合するLucanidの種の発達が観察されうるのである。

8.1 クワガタ、Lucanus cervus(Linnaeus)

総合的な分布:図49c,その他シリアや中東の他の地域にも分布

この種は平地や低山地の古いカシの森、カシとシデの森、松ぶどうカシの森[なんだかわからん]の明るく乾いた南に面した場所を好み、
その他にも古い公園や森の近くの果樹園でも見つかる。クワガタは樹齢150-250年というような老木でできるだけ高い部分があって古く枯れたものがあるとよく、特に直径40cm以上のカシの切り株があるとよく見つかる、養分を得る為の木としては、
カシ(Quercus)
ブナ(Fagus)
ハンノキ(Alnus)
シデ(Carpinus)
クルミ(Juglans)
ニレ(Ulmus)
クワ(Morus)
ポプラ(Populus)
ヤナギ(Salix)
シナノキ(Tilia)
ヨウナシ(Pyrus)
リンゴ(Malus)
サクラ(Cerasus)
スモモ(Prunus)
トチ(Aesculus)
トネリコ(Fraxinus)
ドイツトウヒ(Picea)
マツ(Pinus)などがある。

HORION(1958)によれば、Lucanus cervusの幼虫は亜麻(Linus usitatissimum)の廃物から、そしてKOCH(1989)によれば堆肥

(これは欧州サイカブト、Oryctes nasicornisとの類似性を新たに示すものである。5.2.4章を参照。)も見つかったという。

TOCHTERMANN(1987)は、MAINTALにおいて、製材所及び例外的ではあるが一般家庭の庭の堆肥置き場で幼虫を観察した。
 

生育場所の基礎は、最低地中40cmほどの深さに達する朽ち果てた大きな切り株の根や、古い切り株、あるいは時には柱や

杭(カシのもの)、鉄道の枕木(ブナやカシのもの)でさえもありうる。幼虫は中空やボロボロになった幹の中では育たない。

SCHERF(1985)は、Schwefelporling[硫黄なんとか?キノコの一種?](Laetiporus sulphureus)によって赤く湿った朽ち方のカシ

の幹から幼虫を得ている。

TOCHTERMANN(1992)は、カシを赤くあるいは白く枯れさせる様々なキノコ(Eichen-Wirrling= Daedalea quercina, Baumschwamm =

Fomitopsis pinicola,Eichenfeuerschwamm= Phellinus robustus, Leberpilz = Fistulina hepaticaといったもの)は、その生育環境整備効果

の為に死活的に重要であるとしている。

[8.2は省略]

(図49) 中央ヨーロッパのクワガタの分布、a Platycerus caprea, b Dorcus
parallelipipedus, c Lucanus cervus, d Ceruchus chrysomelinus, e
Sinodendron
cylindricum, f Aesalus scarabaeoides. HORION(1958)他による。
 

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