9月6日,同,曇りのち晴れ,若きホ
ープ?としおーんさん同行
最近BBSに登場した若手のホープ(わたしより一回り以上若いのだ!!)高校
生のとしおーんさんがクワ馬鹿ぶりを発揮している.福井県では2人目というこ
とでときどき連絡をとるのだが,連日でH山某所へいくこととなった.まったく
もって懲りない連中である.
彼は私のうちからは車で40分も離れたところに住んでいるうえ,石川県とは全
くの反対方向である.そこで,うちの近くまで来てもらった(なんとご両親が車
で送って来てくれた).9時に待ち合わせであったが,私は数分遅れてしまっ
た.前回琵琶湖遠征に同行したことがあり今回は2回目である.なかなかスマー
トな長髪のお兄さんである(彼は落ちついた雰囲気があり,あまり高校生らしく
ない).出発時はあまり天気が良くなかったが,石川県の予報は晴れだったので
なんとかなるだろう.大学前のローソンで食料と水を買い込んでいざ出発.前
日,私は3時間しかねていなかったので少し眠たい・・・危ない危ない.
昨日の今日であるからヒメオオのいそうなヤナギがどこにあるかだいたい頭に入
っている.裏をかえせば私のが記憶できる程度のヤナギしか有望な木が存在しな
いということだ.この日は昨日と違って気温が上がらない.としおーんさんが測
ったところ林道の入り口で19.5度と20度を下回っていた.上のほうはもっ
と低いだろう.ヒメオオの活動温度としては十分だろうが少し心配であった.い
きなり林道入り口のヤナギでアカアシ発見.しかし,ネットからこぼれて見失
う.さらに,やや開けた場所で,ダムの横の小さな橋のたもとにあるヤナギに何
かついている.小さなアカアシ♂であった.やはり標高の低いところにはアカア
シがいる.これはとしおーんさんが見事ネットインした.としおーんさんはスプ
リング式のネットを持って来ていたが,ヒメオオやアカアシの場合はリングの部
分が堅いものの方がよいように思われる.
さて,ポイントについたがなかなかヒメオオに出会えない.としおーんさんの手
前なんとか実際にヤナギについているところを見せたいと思ったのだが,曇りだ
と活動がにぶるのだろうか・・・.そして,ようやくヒメオオを見つけた.小型
の♂である.これは昨日には居なかった木である.距離があったので私が如意棒
を使った.

Fig.11 ヒメオオを手に嬉しそうなとしおーんさん
最初のヒメオオを観察してからだんだん天気が回復してきた.薄日がさしてきて
折り返す頃には大分晴れてきた.なかなか如意棒の届くような木には見あたらな
い.かなり斜面を降りないと届かないような木にヒメオオがいるのをとしおーん
さんが見つけた.のこのこ枝先の方へ歩いていると思ったら気配を感づかれた
か?木の幹の方へ方向を変えて移動を始めた.しかたない,私が意を決して薮の
なかを降りることにした.しかし,私一人だったら決して降りようとはしなかっ
たであろう,そんな斜面である・・・(いや,ほんとしんどかった).かわりば
えしないが,この日ヒメオオを観察した木を4つ羅列する.

Fig.12 ヒメオオのいたヤナギ(4)

Fig.13 ヒメオオのいたヤナギ(5)

Fig.14 ヒメオオのいたヤナギ(6)

Fig.15 ヒメオオのいたヤナギ(7)
この日はとしおーんさんと同行したため本当にゆっくり林道を歩いた.いつもな
ら4時間くらいのところを5時間半くらいかかってしまった.気温も低く汗もあ
まり欠かなかった.さて,実際にヤナギについているところを写真に収めたかっ
たが,割と遠いところに居るためまともに写らなかった.そこで,観察が終わっ
てリリースするところを写真に収めたものがあるので紹介する.

Fig.16 ヤナギを素直に登っていったヒメオオ♂のシルエット

Fig.17 ヤナギにとまるヒメオオ♂
以上,この日観察したヒメオオは6♂♂だった.最大サイズの個体はとしおーん
さんが持っていたノギスで測ったところ49mmであった.結局50mm以上の
個体を観察するのは今回もお預けとなってしまった.まあ,楽しみが残ったとい
うように考えることもできる.ひとつ参考になるかどうか分からないが,林道で
あるから山側と谷川どちらにもヤナギの木は生えている.ところが,山側では1
匹も観察できず,この2日間のみならず,福井県においてもすべて谷川に生えて
いるヤナギで観察された.これに意味があるかどうかわからないが,ひとつの経
験則であると私は考えている.
今回同行したとしおーんさんにとって,これが初めてヒメオオでありそして実際
にヤナギについている様子を観察し満足したようだった.2日後に学校で試験が
あるということを隠しての観察行であった.彼の試験の結果がどうであったか?
私は知らない(合掌).
最後に,福島県桧枝岐村産のヒメオオを所有しているのでその写真を紹介する.
これも49mmと決して大型というわけではないが美しい個体である.ヒメオオ
(姫)はこれまで私にとって憧れの存在であったが,実際に生息しているところ
を観察してから,より一層私の心をとらえて離さない魅力的なクワガタとなって
しまった.現在,累代飼育が困難であるということがひとつ大きな問題だが,い
つか人工飼育法を開発できたらなあと思う.

Fig.18 ヒメオオ(桧枝岐産)♂49mm