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このレポートでは、ブック作成の過程から、ブック解説、試合展開、反省点までの4つの流れに分けて解説します。セプターの思考の一端を垣間見せられれば幸いです。
まず、ルールを把握します。
マップは「賢者の島 ダーハン」で、目標魔力8000G、40R制限、サドンデスあり、の4人戦です。試合終了後、成績に応じて1位から順番に、10,6,3,1点が各プレイヤーに与えられます。
試合はとにかく「勝つ(1位になる)」ことが目的ですが、「比較的マシな負け方」というものも存在します。このポイント制の試合において「1位以外=全て負け」ではないので、1位が取れなくても、少なくとも2位にはなっておきたいところです。
強引に1位を狙うばかりに惨めな負け方も許してしまうブックと、1位を狙える確率が特に高いわけではないが大きく崩れないブックでは、試合に臨む姿勢が違います。前者は自分が不利な状況で積極的に使う博打のようなブックであり、後者は自分が有利な状況で使うブックでしょう。
もちろん、初めから2位を狙う必然性はありませんし、貪欲に勝ちを狙う姿勢は欠かせません。しかしながら、klaus氏の「惜敗(2位)とれないブックは弱い。惨敗(4位)の可能性があるブックはもっと弱い。」の言葉は、心のどこかに留めて置くべきでしょう。
達成までの形
ダーハンで目標魔力8000Gを達成するには、次のような形にしなければなりません。下の表は()内は連鎖している土地の数と、レベルを表しています。ここでは、連鎖をひとつ作るのに200Gが必要と仮定しました。
領地 | 土地価値 | 魔力 | 必要魔力 |
---|---|---|---|
(55111) | 6160G | 1840G | 5240G |
(55411) | 7392G | 608G | 4568G |
(5551) | 7856G | 144G | 4544G |
(55511) | 8800G | 0G | 4600G |
効率よく魔力を稼ぐ
達成するためには4500G近い魔力が必要と分かりました。次に、この魔力を獲得する方法を考えます。
ダーハンは1周するのに34歩かかり、約550Gの魔力を得られます(砦ボーナス100G×2、周回ボーナス250G、領地ボーナス等100G)。よって、1歩当たり16.2Gと評価できます。
最大ダイスは8なので平均ダイスは4.5となり、40Rで周回による魔力収入の期待値は2916Gとなります。(16.2*4.5*40=2916)
残り約1600G(4500-2900=1600)は、カードで得なければなりません。ドローカードを利用すれば、40Rまでにブックを1周できますから、全てのカードを使用できます。
ホーリーワードXは、5.5歩の周回加速効果があり、約60Gの収支です。同様の足スペル(ヘイスト等)を8枚投入し、約480Gの収支になります。
他の魔力収入カードを比較してみましょう。
パーミッションは砦を通過せず周回ボーナスが得られるスペルです。使用コストを180Gと見なし、17歩を3歩に縮める(14歩短縮)効果があります。よってパーミッションは約50Gの収支です。(16.2*14-180=46.8)
最大ダイス目8なので、ミスルトの収支は約130G。マナは周回の平均値を3として150Gの収支です。
よって、もっとも収入期待値の高いマナを4枚採用すれば、600Gとなります。
ここまでで、
周回(2916G)+足スペル8枚(480G)+マナ4枚(600G)=3996G
となり、4500Gに届きません。つまり、まともにやったのでは、40ラウンドまでに目標魔力を達成できないことになります。他の魔力収入も考えた方が良さそうです。
他の魔力収入
有力と思われる魔力増幅手段には、次のようなものが挙げられます。
ダーハンで達成するためには、5連鎖レベル5を2つ作っても足りませんから、終盤は高額領地が林立します。これらの領地を「自分がどうやって作るか」と「どうやって回避するか」が要求されます。
40Rのサドンデス有りのルールを踏まえて、次のような戦術が有効でしょう。
実際の試合では、24人中16人がランドトランス、もしくはクイックサンドのどちらかを採用。この環境での有力戦術と判断できます。トランス・サンド型は、高STや周回重視などバリエーションがあり、同型同士でも相性の違いがあります。
一方、テンペスト型はいなかったものの、破魔矢さんが「カタストロフィ+パイエティコイン」を使っていました。終盤でクリーチャーを焼き切って2位になっていたので、コンセプト通り機能したと言えるでしょう。
転送円対策
ダーハンでは、転送円で東エリアに飛んでしまうと、再び転送円を踏んで戻って来なければなりません。最初は50%の確率で戻って来られますが、これに失敗すると25%まで復帰できる確率が減少します。
また、転送円で飛ばされると、復帰するのに最低でも2Rかかるため、クリーチャーの配置や周回で遅れをとってしまいます。確実に西エリアに戻ってくるためにはテレポートやリコールが必要です。
両者とも砦付近で使えばショートカットになるばかりか、クイックサンド等の高額領地対策にもなるため、利用価値は高いです。ただし、タイミングを選ぶカードなので、ブックへの採用枚数はよく考えましょう。
ブック解説
これらを踏まえて作成したのが、次のブックです。ブックのタイプは、トランスサンド型に分類されます。荒れた展開に強く、大きく崩れないことを念頭においています。
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各セプターのブック傾向(敬称略)
ブック一覧
試合展開
序盤は各自、順調にクリーチャーを配置していきますが、パン助がトップを走ります。こおひいは10ラウンドまでに2回も転送円で東エリアに飛ばされ、苦しい展開です。しかも14ラウンドにはパン助のレベル4領地に止まってしまい、576Gの魔力を奪われて土地の大半を手放すことになります。16bitsはすかさずパン助にドレインマジックを使い、315Gを奪いました。こうして試合はパン助、ひろあき、16bitsの3人がしのぎを削る形に。
17ラウンドにはひろあきがマーブルアイドルを配置して、各自クリーチャー展開が難しくなります。特に、16bitsとひろあきは同じ地属性ということもあり、土地を5箇所確保できればマシな方と言えます。ここは大人しくターンウォールを待ちましょう。
19ラウンド、ひろあきはグーバをレベル3にした状況で、手札にはランドトランスがあるにも関わらずリコールを使います。しかし、これが砦を通過しておらず空打ちになってしまい、痛恨のミスに。これをパン助はメズマライズで奪って使用し、一気に加速します。こういう使い方が出来るから、メズマライズは強いです。
一方、24ラウンドに16bitsは「メズマライズ→ホーリーワードX→リコール」の流れを優先してしまい、ランドトランスをメズマライズするのを見逃してしまいます。マーブルアイドルが配置されているため、一概に使った方が良いとは言えませんが、今にして思えばここが勝敗を分けるポイントでした。
25ラウンドには、こおひいがパン助のレベル4領地にシンクを打ち込み牽制。
31ラウンドに、16bitsはバジリスクをドローして、ひろあきのレベル1グーバを侵略します。マーブルアイドルがいると、クリーチャーを召喚しにくくなり、防御側のクリーチャーが守りやすくなります。よって通行料を奪う戦術が強くなり、バジリスクが有効な対策手段になるのです。つまり「パン助を止めるのにバジリスクが必要だけど、マーブルアイドルいるから使えない。ひろあきもバジリスク使いたいでしょ?マーブルアイドル引っ込めたら?」という意思表示なわけです。もちろん、セオリーではありません。
続く34ラウンドでも、16bitsはターンウォールをドローしますが、ひろあきのマーブルアイドルに使うか、パン助のミルメコレオに使うかで悩みます。マーブルアイドルに使えば私は楽になりますが、ミルメコレオを踏んだときに対抗できなくなる。ならば、ミルメコレオをハリケーンに変えてしまい、落とせる(削れる)状況に持っていくべきと判断し、城近くのミルメコレオにターンウォールを使います。
しかし、ひろあきはテレグノーシスがあるにも関わらず、マーブルアイドルを交換せず、手持ちのバジリスクを出せずにパン助に1500G以上の通行料を支払ってしまいます。結局、パン助が押し切る形で試合終了です。
他者から他者への振込みは如何ともしがたいですが、ここはパン助の立ち回りが上手かったことを評価すべきでしょう。私自身、何とかできた場面はいくつかありましたし。やはり最後はプレイングが肝心ですね。
以上、関東杯におけるダーハンのレポートでした。
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