Tactics4-2:資産の妨害

 前項では資産の妨害を“自分の魔力・手札を失いつつも、相手の資産を減らすことを目的とする妨害”と定義しました。これだけではイメージが難しいと思いますので、以下にいくつかの具体例を示します。

 マインドブラスト    単体呪いスペル  コスト:40  レアリティ:S
 3ラウンドの間、対象敵セプターは手札のスペルカード枚数×30Gの魔力を失う


 メテオ    単体瞬間スペル  コスト:200+□  レアリティ:R
 対象の領地のレベルを2下げる:対象の領地が連鎖していない場合、レベルを1にする


 ウェイスト    単体呪いスペル  コスト:70  レアリティ:S
 城を通過するまで、対象敵セプターのクリーチャー、アイテムカード使用魔力を2倍にする


 このように、相手の魔力や資産そのものを減少させるカードが資産の妨害に当たります。この項では、これらの妨害スペルの効果を4人対戦時を原則として評価していきます。広義では【イビルブラスト】などで土地を減らしたり、【バックワード】で後退させる行為も含みますが、これに関しては後ほど。

 【マインドブラスト】

 以下のように4人が対戦しているときに、【マインドブラスト】をCに使ったとします。それぞれ手札にスペルカードが2枚ずつあり、3Rでの魔力損失は180Gだと仮定します。各単位は魔力(G:ゲイン)です。


      自分  A  B  C
 使用前    200   200   200   300
 使用後   160   200   200   120

 これだけでは、あまり悪くない印象です。トップとの差は100Gあったのに、使用後は40Gに縮まっています。これから40G稼げば最前列に並べますから、使った意味もあるように感じます。

 では、次の場合はどうでしょうか?あなたはAに【マインドブラスト】を使います。


      自分  A  B  C
 使用前    200   250   250   250
Aに使用   160    70   250   250

 これだけでは、B、Cが抜きん出てしまいます。B、Cにも使ってみましょう。


      自分  A  B  C
 使用前    160    70   250   250
Bに使用   120    70    70   250
Cに使用    80    70    70    70

 これで、全員がほぼ横一列に並びました。【マインドブラスト】を打ち続けて他のプレイヤーとの差を縮めることが出来たので、悪いことではないように見えます。

 しかし、実際は大きく違います。前項で挙げた資源という考え方によると、【マインドブラスト】を3人に使うということは、40×3=120Gの魔力に加えて、3回のスペル使用機会と、3枚のカードを消費しているのです。それに見合うだけの効果があったでしょうか?例えば、【マナ】。これは最低でも50Gの魔力を得られるカードです。これを【マインドブラスト】の替わりに使ってみましょう。


        自分  A  B  C
   使用前    200   250   250   250
【マナ】使用   250   250   250   250

 なんと、他のプレイヤーと並んでしまいました。しかも消費した魔力は0Gで、スペル使用機会は1回、カードも1枚で済んでいます。このことから、4人対戦時に【マインドブラスト】を入れるメリットは少ない、と結論付けられます。もうちょっと考えてみましょう。

 収支を計算する

 【マインドブラスト】は3回、120Gを使って他のプレイヤーを180Gの損害を与えた。
 【マナ】は1回、0Gを使って自分に50Gの収入を得た。

 この両者を魔力という軸で、同列に評価してみましょう。これを以後、収支と呼びます。

 【マインドブラスト】は3回で自分に60Gの収入があったと見ても良い。
 これは60÷3=20となり、1回あたりは20Gの収支と評価できる。

 【マナ】は1回で自分に50Gの収入があったので、そのまま50Gの収支と評価できる。

 また、この収支は対戦人数によって変化します。二人対戦であれば、【マインドブラスト】の評価は140G。1周目の【マナ】は変わらず50Gです。この収支計算を公式化したものが次になります。

 収支=与えた損害÷敵プレイヤー数-支出+収入

 4人対戦の【マインドブラスト】は180÷3-40+0=20
 2人対戦の【マインドブラスト】は180÷1-40+0=140

 【マナ】の場合は対戦人数に影響がありません。同様に計算してみます。

 1周目の【マナ】は0÷?-0+50=50
 3周目の【マナ】は0÷?-0+150=150

 【メテオ】

 【メテオ】は相手が土地に投資した魔力をリセットすると考えれば、魔力に対する攻撃手段と表現できます。連鎖倍率に左右されるので一見すると効果があるようですが、実質的な魔力に与える損害は少なく、見た目以上に効果がありません。

 ここでは、地価100G、4人対戦の場合を考えてみましょう。レベル5にするのに必要な魔力は1500G、レベル4なら700Gです。また、生贄カードについては無視して計算します。

 レベル5に【メテオ】を使用:(1500-300)÷3-200+0=200
 レベル4に【メテオ】を使用:(700-100)÷3-200+0=0

 レベル5に使ってやっと収支はプラスになります。レベル4で自分と相手も損をするというレベルで、達成直前であれば止むを得ず使う場面もあるでしょう。レベル3以下に使うのは、かなり疑問です。

 【ウェイスト】

 【ウェイスト】は相手の使用したカードに応じて、与えた損害が大きく違ってきます。仮に4人対戦時、城に戻るまでにコスト60Gのクリーチャー4体を召喚したとしましょう。与えた損害は60×4=240Gです。

 240÷3-70+0=10

 なんと、【マインドブラスト】を下回る結果になりました。仮に相手が2倍のコストをかけたとしても90Gです。実際には【ホーリーワードX】で上書きされてしまったり、クリーチャーの替わりにスペルを使われてしまったりと、効果が安定しません。4人対戦での選択肢は皆無と言えます。

 以上のように、収支計算をすることで、カードが持つ力を客観的に評価することが出来ます。もちろん、ゲーム中にこんなことを考えている余裕はありませんから、ブックを組む段階において計算をし、採用するかしないかを判断します。概ね、4人対戦では個人対象の資産の妨害が有効ではありません。
 ただし、何らかの方法によって4人の中から自分ともう一人が突出するような状況になった場合は、個人対象の妨害スペルが有効に機能します。この条件下では実質二人対戦と同じになるためです。もっとも、そう簡単には二人だけが突出する状況を作り出せません。とりあえず、現段階では「4人対戦時に個人対象の資産妨害は機能しない」と理解しておけば良いでしょう。