Base4-3:機会の妨害

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 4-1では機会の妨害を“自分の魔力・手札を失いつつも、相手の行動選択肢を狭めることを目的とする妨害”と定義しました。前項と同様に、具体例を示します。

 シャッター    単体瞬間スペル  コスト:20  レアリティ:N
 対象敵セプターの手札から、クリーチャー以外のカードを1枚選んで破壊する

 バインド    単体呪いスペル  コスト:60  レアリティ:N
 1ラウンドの間、対象敵セプターを行動不能にする

 基本的に、手札破壊のスペルや行動制限のカードがこれに含まれます。手札が減ることで選択肢が狭まる、というわけです。

 評価が一定しない

 資産への妨害では「魔力」という尺度がありました。しかし、1枚の手札や1回の行動には基準となる尺度はありません。魔力に換算するのは難しそうです。

 仮にシャッターを考えて見ましょう。シャッターは自分の手札を1枚、スペル使用機会を1回、魔力を20G消費して、相手のアイテム、スペルカードを1枚破壊します。自分はカード以外にも資源を消費しているため、交換効率はあまりよくありません。適当に使っていては意味が無いスペルです。では、次のような場合はどうでしょうか?

 4人対戦で、自分がシャッターを使い、周回数3の相手のマナを破壊した。

 周回数3の場合、マナの収支は150。前項の収支計算式によれば、50÷3-20+0=30となり、収支は30です。これならば客観的に評価できますね。

 では、アイテムカードを破壊した場合はどうでしょうか?相手の防御用アイテムを破壊して、自分がその土地を奪えるのだとしたら、かなりお得です。

 4人対戦で、自分がシャッターを使い、1600Gの領地を奪うことに成功した。

 1600÷3-20+1600=2113ですから、収支は2113となります。通常は侵略用のアイテムも使うと予想されるのでコストは40~120程度追加されるでしょうが、無視しても良いレベルです。これは逆に考えれば、自領地の防御も同様と言えます。相手が侵略するのが予想されるなら、相手の武器を破壊して、減るはずだった資産(土地)を守れます。

 前者と後者では、シャッターという同じカードにもかかわらず、2000G近くも収支が異なってしまいました。やや理想状態を提示しているとは言え、これは通常では考えられません。実はこの評価の難しさが機会の妨害の特徴です。

 プレイヤーによって行動を予想できる範囲は限られています。シャッターでのアイテム破壊から侵略までの道筋を見つけられるか、相手の妨害を予想して先に手札を破壊できるか、といったことが出来るかどうかの問題です。これが出来るようになれば、機会の妨害は大きな効果を発揮するでしょう。逆に、自分が使うべきタイミングを逸し、あまり意味の無い行動をしていては自ずと勝利は遠のいてしまいます。

 これはバインドに関しても同様です。「4人対戦で目標魔力8000Gを40ラウンドで達成する」なら、1ラウンドの価値は200Gとも言えます。これを収支計算すると200÷3-60+0=6で、収支は6という信じられない結果になります。仮に1ラウンドの価値を300Gとしても、収支は40Gです。バインドを4人対戦で使う、というのは通常では考えられません。

 しかし、自分以外の誰かが達成間近という状況であれば、バインドは正に切り札となるでしょう。特に自分と相手の城への競争となっていれば、その評価は無限大です。

 機会の妨害は「相手の行動選択肢を狭める」ことが狙いです。その狭まった選択肢が、相手の決定的な損害に結びつくか、あるいは自分の資産を守ることが出来るか、それによって評価が変動します。つまり、カード単体で損得の収支を評価できるものではなく、ゲーム中に評価されるべきものなのです。評価が一定しないため、「使える、使えない」を論じるのはナンセンスです。問題は「使えるタイミングが多いか」「使ったときに効果が見込めるか」でしょう。

 使い所を見極める

 以上のことから、機会の妨害はタイミングを限定して使用するべきである、と結論付けられます。加えて、タイミングの計り方はプレイヤーの力量に左右され、ゲーム中に何度もあるものではないことも明らかになりました。ブックに投入する際は、必要な量を考えて採用するべきでしょう。収入スペルのように「あれば困らない」カードではなく、「手札に腐らせる可能性の方が高い」カードです。また、使用するときは「使わない」選択肢が最善手になりうることも覚えておいて下さい。「手札に引いたから使おう」では、折角のカードが泣いてしまいます。シャッターのポテンシャルは2000G以上と考えれば、無駄打ちしたくはありません。

 前項の最初に触れたマジックボルトやバックワードも同様です。単純に、マジックボルトで相手のクリーチャーを破壊したのなら、その資産に与える損害は微々たる物です。しかし、リビングアイドルのような盤面全体に影響を与えるクリーチャーを排除した時に、自分にとってどれだけ有利になるか、相手はどれだけ不利になるか、を考える必要があります。自分にあまり影響を及ぼさないのであれば、そのクリーチャーを除去する必要性は低いでしょう。評価は最低レベルで、最悪-50Gです。逆に、影響が大きいのであれば積極的に破壊するべきと言えます。


 本項と前項で、4人対戦時の妨害手段について大まかなイメージが持てたと思います。「使って得をするチャンスは稀で、使わない方が良い場合が多い」手段です。逆に、2人対戦時は圧倒的な効果をもたらします。下の式を参考に計算してみて下さい。胃が痛くなると思います。

 収支=与えた損害÷敵プレイヤー数-支出+収入

 さて、4-1の冒頭では相手に差をつけられてしまった場合の対処法として、妨害を挙げました。しかし、妨害はあまり効果を見込めないようです。次項では相手に追いつくための方法として干渉手段を提示します。

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