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 第1話/待ち合わせ(4)

 

 

 「大事にするね。傷んじゃ嫌だから、一度家に帰らない?」
 「なんだよ、それじゃあ、待ち合わせた意味なかったじゃん」
 「ううん。十分意義があったわよ。あんたを待っている事は」
 「??」
 「いいから、行きましょ」
 「あ、ああ」

新しい、いつもの景色の中へ

 いつも一緒にいるんだから、たまにはあんたの事、待ちわびるのもいいじゃない。
 あんたを待って、あんたの事考えて、あんたの暖かさを心待ちにして待つのも悪くない。
 出会えた時の喜びをこうまで感じられるのは、待った人の特権だからね。

 私はあいつの腕に腕を絡めて、いつもと同じ景色の中を、いつもと違う気持ちで歩き出した。

 

(おしまい)