◆エピローグ◆
『半年後』
半年後。
俺と直美の遠距離交際は今でも続いてる。ほとんど毎日の電話と一ヶ月に一度だけのデートで俺達は上手くやっていた。不思議なもので二人の仲が冷めると心配していた遠距離恋愛も、逆にいつでも会えない分、二人の時間を大切に出来た。
遠い分、お互いに対する愛しさはつのった。
そして時がたつに連れ恋愛関係以上に信頼関係が強くなっていく。
お互いが、お互いをしっかり捕まえようと努力し工夫して一緒にいる時間を作った。
「まこと、勉強のほうはかどってる?」
「心配するなよ。俺は直美の大学に一緒に行くことだけが今の目標なんだ」
そう。成績が中の下だった俺が、猛勉強して、外の大学を受けることになった。直美の大学だ。
「一緒に大学に行くかぁ、なんだか信じられないなぁ」
「ひどいなぁ、人が一生懸命努力してるのに…」
「ごめん。何か私に出来ることは?」
「今週の週末を開けておく事」
「あのねぇ、本当に大丈夫なの?」
「約束してくれれば、週末まで勉強に集中できるのになぁ」
「はい。はい。わかったわ。今週の週末はまことの予約決定ね。それじゃぁ。勉強頑張ってね」
「ああ。おやすみ、直美」
俺達はこれからも二人で歩んでいくだろう。
物理的距離という厳しい現実を克服して来たんだ。もう何が起きても怖くない。直美と二人でいられるならば…。
あの夏の日。
彼女に出会って、俺の人生は変わった。
もし出会っていなかったらどうなっていただろうと、ふと思う。
でも、きっと、今以上に幸せな人生は送れていなかったと思っている。
あの海のマリンブルーを見る思い出す度、あの夏の日、様々な気持ちや出来事、思い出が心の中に奏でられていく。
遠くなるあの夏の日が、二人の心にいつまでも…。
【HAPPY END】
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