「とりあえずこのまま病院へ」
俺は子供を抱いて走ってビーチを出ていこうとした。
「ちょっと、宇佐美さん! だめですよ、その子頭を打ってるんですよ! 動かしちゃぁダメです!!」
恵理香ちゃんが慌てて俺の方へやって来た。
「でも急いで病院へ…」
「シロートが下手な事をしたら取り返しがつかなくなってしまいます! とりあえず降ろして寝かせてください!!」
「……」
しまった。取り返しのつかないことをしてしまったのかもしれない。
「あとは私たちスタッフにまかせてください」
「ご、ごめん」
数時間後…。
子供は意識不明の重体。生死の境をさまよっているそうだ。
そして、事故後の処置が良ければ大事には至らなかったと聞いて俺は愕然とした。
下手な知識で慣れない事はやるべきではなかったのだ。
これではもう、直美さんに会わす顔がないよ…。
【END】
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