「ひっぱたくことないだろう? 直美さんだって期待してくせに」
俺は叩かれた手をさすりながら、直美さんを非難する。
「なんですって? 私たち会ったばかりなのよ! ちょっとあつかましいんじゃない?」
「なんだよ、さんざん気を持たせるような事しておいて」
「勝手に勘違いしないでよ! 最低っ!」
俺を睨んで直美さんは立ち上がった。
「俺が悪いっていうのかよ」
「もういいわっ!君の事、気に入りかけていたのに、そんなこと言う人だったのねっ。所詮、私はまこと君にとってその日だけのナンパ相手と同じだったわけ。よ〜く分かったわ。さようなら!」
「あっ…ちょっと待って」
俺の呼び止めも無視して、立ち去る直美さん。
その後ろ姿を俺は、呆然と見送った。
ちょっと言い過ぎたか…直美さん目に涙を浮かべてたぞ。
くそぅ俺って最低だ!!
それから直美さんは俺の事を避けるようになった。
俺は自分の気持ちばかり考えて彼女の気持ちを考えてなかったんだ。
【END】
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