■直美編■
2日目【7月22日】


 
 

◆7月22日<昼>◆
『浜辺でフリスビー』



 

 う〜ん。また意味もなく天乃白浜に来てしまった。相変わらず人の多いこと。
 おや? あの娘は…。

 「やぁ、昨日はどうも。また会ったね」
 「あら、あなたは昨日のナンパ師さん」

 昨日声をかけた女の子だ。
 今日も来てるなんて、地元の娘かな?

 「う〜んナンパ師っていうのはやめて欲しいなぁ。俺はまことって言うんだ」
 「まこと? …もしかして…でも、そんな訳ないかぁ」
 「???。あのさ、今、一人なんだろう? 一緒にバーで冷たいものでも…あ、ところで君、名前は?」
 「え? ええっと、…名前くらい、いいかな…私は」

 おお! 手応えあり!!
 これはいけるかも!!

 「くぉら、まこと! 性懲りもなくまたナンパしてるな」

 俺は丸いプラスチックのようなもので頭をたたかれた。俺は驚いて振り向く。

 「あっ、直美さん」
 「えっと…し、失礼します…」
 「え? あ! ちょっと…」

 恥ずかしそうにしながら、女の子は走り去ってしまった。

 「おやん? ひょっとして上手くいってたの?」

 少しばつの悪そうに直美さんは聞いた。

 「ううう…俺はモテないからめずらしく上手くいったと思ったのに…せっかく俺にもチャンスが来たと思ったのに…」
 「わ、私が悪い訳? …まあ、いいわ。お詫びに、私が変わりに遊んであげるから、それでいいでしょ?」
 「うう、さっきの娘、可愛かったのに…」
 「なによそれ。私が可愛くないって言いたいわけ?」
 「ううう…逆ギレだぁ〜それ」

 「ごちゃごちゃ言ってないで、これ拾ったから、ついでだから遊じゃお」
 「あれ、フリスビーじゃん。でもやったことないよ」
 「大丈夫なんとかなるって。いくよ」

 直美さんは見事なフォームで投げてきた。
 それをキャッチして直美さんの方に投げ返す。フリスビーはぜんぜん違った方向に弧を描いて飛んでいった。

 「こらぁ、どこに投げてるの? もう少しはやく手を放さないと真っ直ぐ飛ばないでしょ?」

 今度は超低空で直美さんは投げてきた。それを何とか受け取るともう一度投げ返す。しばらく続けてるうちにコツがわかってきてリレーが続きだした。

 「なかなか飲み込みが早いわよ! それぇ」

 直美さんは背中に手を回して投げたりしてバリエーションを出してくる。いつの間にか汗びっしょりになった。でもけっこう楽しいぜ。
 そうして、俺がばててしまうまで二人でフリスビーを楽しんだ。