■直美編■
1日目【7月21日】


 
 
 「んーー、いい気持ちねー」

 そう言って伸びをする直美さん。

 「今日も暑くなるんだろうなぁ」

 海風になびく髪をかき上げて、まぶしそうに太陽を見上げる。
 その姿を俺は隣で見ていた。
 本当に清々しそうな表情に俺は心惹かれた。 

 「朝からいい気分になれたよ。誘ってくれてありがとう、直美さん」
 「一日の始まりって大切だからね。案外、それで、その日一日の気分が決まっちゃたりするんだから」
 「言われてみればそうかもしれない。俺なんか、朝ギリギリまで寝ている方だから、寝起きはバタバタするんだよ。だから毎日があわただしく過ぎていく感じがするんだろうな」
 「あはは。あたしも学校やバイトが朝からある日は、似たような感じかな?」
 「おかげで、なんだか今日はゆったりした気分で一日送れそうだよ」
 「うん。…じゃあ、そろそろ帰ろうか」
 「ああ」

 そうして、俺たちは家へと帰った。
 途中、ちょっとツラかったけど、自然の中を歩くのもいいもんだなぁと思った。
 気分もいいし、直美さんにも、なんだか近づけた気がするし、誘ってくれた彼女に感謝、感謝である。