「星が好きだなんて意外だね」
「まぁね。あまり私に似合わないって、よく言われるわ」
直美さんは背伸びをしながら答える。今の彼女、とてもすがすがしい顔をしているな。
「直美さんって昼間、動き回って夜は疲れて早く眠りそうな感じするからさ」
「う〜ん。でも、私、夜空に限らずこういう景色とかを眺める事が一番好きだな。日常のごたごたを忘れて、心をおもいっきり解放するの」
「俺も嫌いじゃないよ。こういうの」
「本当?」
海を見ていた直美さんが嬉しそうに俺の方を向く。
「俺達、都会人にはこういう機会ってなかなかないな。忙しい日々にせかされて、空をぼんやり眺めるなんて事、めったにないからさ」
「そう。良かった。私が無理矢理連れてきたから、まこと君、退屈してるんじゃないかと思って少し心配したわ」
空をこんなにじっくり見たのって何年ぶりだろう。空ってこんなに青かったんだ。
きっと直美さんって、こんな自然の中でのびのびと育ったから、生き生きとしてるんだろうな。
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