「そりゃぁ、少しは気になるよ。でも、こういう事って聞くべきじゃないよな」
「へぇ、宇佐美君、分かってるじゃん。感心しちゃった」
「でも、本人が言いたいんだったら別だけど」
俺は意味ありげに小野寺さんにそう言う。
「え? そ、そんなわけないよ。だって今この場で言えるようなもんじゃないし…その、こういうのって言う覚悟とか、必要じゃない?」
「覚悟ね…。でも好きな相手に言う訳でもないんだぜ。心配しなくてもこれでも口は堅いほうだと思うよ。俺ならいろいろ手伝ってあげれると思うしさ」
なんて心にも無いことを言ってしまう俺。
「う〜ん…やっぱやめとく」
その彼女の言葉に俺は内心、ほっと胸をなで下ろした。
この後、雨が止むまでクラスのうわさ話など雑談で時間を潰した。これはこれでけっこう楽しかった。突然のにわか雨に少し感謝だな。
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