「さぁね。それは秘密と言うことで」
「あ〜教えないつもりだな。じゃぁ、わたし勝手に決めちゃうからね」
「え? 決めるって」
「教えないって事はいるって事でいいよね」
「ちょっとまてぃ」
俺の言葉を無視してふむふむと自分でうなずく小野寺さん。
「相手は…うむむ〜。たぶん綾部さんね」
「待て待て待て! ちょっと待て。……何でだよ」
意外な名前が出てきたので慌てて否定する。
「だってクラスで彼女と話をしてるのって宇佐美君ぐらいじゃない。それに綾部さん綺麗だし…たぶんつきあってる人くらいいるんじゃないかな〜ってね。じゃあ、誰とだって考えると、宇佐美君しかいないのよね。見事な推理でしょ」
「違うって。俺は誰ともつきあってなんか……あ!」
小野寺さんは少し意地悪い笑顔を浮かべていた。俺は見事に彼女の誘導尋問にひっかかったんだ。
「な〜んだ。そうなんだ」
「だ、だからなんなんだよ」
「いや、宇佐美君の隣、空いてるのかな〜って思って」
「え?」
「ほら女の子同士のあいだでけっこう話したりするのよ。誰がフリーで誰がつきあっているとか…宇佐美君たちも女の子達のそういう事、気になるでしょ?」
「ま、まぁね」
一瞬「じゃぁ私が隣に行ってもいいかな?」なんて言葉をちょっと期待してしまったぞ。
やっぱ彼女の事を意識しすぎてるのかな俺。
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