■美鈴編■
5日目【7月25日】


 
 
「ひどい奴らだよね。美鈴の両親も、上級生たちも」
「まったくだわ。あたしの大事な友達を…」
「命をなんだと思っているんだろうな」
「そりゃぁ、ポリーは雑種で少し汚れてたけど、滅多に吠えない優しい子だったのよ。あの上級生も、きっとポリーになにか危害を加えようとしたから噛みつかれたんだわ」

 怒った顔で握り拳を震わせる美鈴。
 …あらら、子犬が少し怯えてるよ。

「美鈴…残念だったな」
「あたし、犬を見る度、ポリーの事を思い出すの。あのままあの子が生きていたらどんなに楽しかっただろうって…」
「もしかしたら俺が餌をやっていたことにも気付いていたかもしれないな」
「そうかもね」

 美鈴の顔に笑顔が戻る。やっぱり怒っているより笑っている方が可愛いのになぁ。
 美鈴ってあまり笑顔見せないからなぁ
 …でも、よく考えるとこの海に来て美鈴の笑顔、けっこう見たような気がするぞ。