「でも、それでも良かったんじゃないか?」
「よくなんかない! ポリーはあたしに拾われてなかったら死ななくてもよかったのよ!」
予想外の返事だったのだろう。美鈴は俺に食ってかかった。
「馬鹿だな。ポリーは美鈴に拾われた事を悔やんでたと思ってるのか?」
「あたしに拾われたばっかりに…」
「違うな、美鈴。お前に拾われてポリーは幸せだったはずだ。少なくともお前を慕ってたんだ」
「でも、あたしはそれを裏切った!」
「いいや、聞いてる限りじゃ、美鈴はポリーを裏切ってはいない。一生懸命守って、親にお願いして、ずっと看病をしてあげた。それはポリーにとって幸せな事だったんじゃないかな?」
「でも…」
美鈴は言葉を続けずに考え込む。
「美鈴はポリーと一緒にいて幸せだったんだろ? ポリーだって同じさ。別れというものは誰にでもやってくる。悲しい結果より、その幸せな思い出を大切にした方がポリーも喜ぶんじゃないか?」
「…そうね。宇佐美の言うとおりよ。楽しかった頃の思い出の方が本当は大事なのにね。なんかさ、宇佐美には教えられることばっかりだよね」
「ははは」
失ったものを悔やむよりも、失ったものから得たものを大切にするのがなによりだと俺は思う。
まあ、元々は姉貴の言葉なんだけどね。
美鈴が悲しむとポリーだって悲しむと思う。悲しみの原因になるより喜びの原因になったほうがいい。だから、楽しい思い出を大切にする事でポリーは救われるんじゃないかな。