「う〜ん、少し納得いかないけど、もらえるものはもらっておこう」
まぁ、別に悪い気はしないか。せっかくくれると言ってるのだからもらっておこう。
「……」
「ん? どうした美鈴」
俺が手に持った封筒を見つめたまま、反応のない美鈴。
「…い、いいえ何でも…」
「じゃあ俺、帰るから。気をつけて帰れよ」
「…うん」
なんだ? 美鈴の奴、虚ろな目をして、心ここにあらずと言った感じだぞ。
まあ、いいか。帰ろう。
それから美鈴はピッタリと姿を現さなくなった。別荘に行っても、そこには誰もいなかった。
新学期になって、始業式の日、学校へ行くと、美鈴の急な転校の知らせがあった。美鈴はフランスの祖母の家へ引っ越したのだ。しかし、どうして美鈴は急にいなくなったりしたのだろう? 金を受け取ったのがまずかったのか? 今となっては誰にもわからない…。
【END】