■美鈴編■
2日目【7月22日】


 
 
「お客様、ちょっと鞄の中身を見せてもらえますか?」

 年輩の店員が丁寧だが厳しい口調で美鈴に言う。

「い、いやよ。なんで見せなきゃいけないの」

「盗犯防止の警報が鳴っているのです。誤作動だとは思いますが一応中をお見せ下さい」
「誤作動よっ」

 …呆れたもんだ。まぁ、美鈴らしいといえば美鈴らしいが。
 でも、放っておく訳にもいかないだろう。

「何馬鹿やってんだよ、美鈴」
「あっ!!宇佐美」
「すみません。コイツ世間知らずなお馬鹿なんで…出来心だと思います。ほらいい加減、鞄の中のものを出せよ」
「……」

 俺を睨む美鈴。
 目をこちらに向けたままゆっくり鞄の中から盗んだCDを出した。

「困りますねぇ、お客さん」
「本当にすみませんでしたっ。ほら美鈴も謝れ」
「…コイツのせいよっ」
「はぁ?」

 突然、美鈴は俺の方を指さして叫んだ。

「コイツに万引きしろって言われたから仕方なくやったのよっ!」
「へ?」
「見張ってるから、コレを万引きしろって命令されたんです!」
「ち、違います、無茶苦茶ですっ! お前、せっかく助けてやろうとしていたのになんて事言うんだっ!」
「…はぁ〜。とにかく2人とも事務室に来てもらおう」

 くぅ〜、共犯にされてしまったぜ。こんなんじゃ、助けるんじゃなかったよ。