拍子抜けして顔を見合わす俺達。
ひと呼吸置いて、彼女の顔がみるみる赤くなるのが分かった。
「な、なに馬鹿な事を言ってるのでしょうねあたし。迷惑かけてもいいですかなんて…」
「い、いや、そのくらいの迷惑なら全然気にしないから大丈夫だよ」
二人ともしどろもどろになりながら明後日の方を向いて言う。
そして沈黙。
花火の音がやけに大きく聞こえる。
あ〜あああ!なにか言わねば…黙ってるとますます照れてしまう。
「真澄ちゃん。ボディーボードって面白い?」
俺は雰囲気を元にもどそうと、そう切り出した。
「え?」
「ほら、初めて会った日にやってただろ? 今、流行ってるみたいだし、どうなのかな〜て思ったんだ」
「うん。面白いですよ。波に上手く乗れた時なんて最高です。波と一体になる感覚っていうんですか? とにかく一度、楽しさが分かればやみつきです。それにサーフィンとかに比べるとそんなに難しくないんですよ。先輩もやってみません?」
熱心に薦める真澄ちゃん。そんなに面白いんだったらやってみたいケド…。
「でも、俺、ボード持ってないし…」
「大丈夫。明日は由希子さん学校でいないんです。あたしがボードを借りてきてあげます。フィンは、俊治さんのが確か由希子さんの車の中にあったはずです」
「でも、ウエットスーツは?」
「なくても大丈夫ですよ。夏ですし、水着だけの人もけっこういますからね」
「そうか。じゃぁ真澄ちゃんに教えてもらおうかな?」
「任せて下さい。…って言っても去年始めたばっかりだから、上手く教えられるかわからないですけどね」
「よし、そうと決まれば、明日に備えて帰って寝なきゃな」
「そうですね。じゃぁ帰りましょう先輩」
俺達は立ち上がって待ち合わせの時間と場所を決めるとその場で別れた。
明日が楽しみだ。
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