俺達が館内に入った時、ちょうど映画が始まっていた。
素早く手頃な席に座る。
この映画は洋画ホラー作品だ。アメリカのある小さな山間の村に学生達がキャンプに来ていた。その中の何人かが、その村に伝わるインディアンの遺跡を探索した時、おもしろ半分に何かを封印した碑石を倒してしまう。
そには悪霊が封印されてたのだが、それが村人らに取り憑いて人々を殺し始める。学生の一人である主人公はインディアンの青年と悪霊を封印すべく立ち向かうのだが…。
次々と仲間が殺されていく中で、次第に追いつめられる主人公達。目の前の友達が突然取り憑かれ殺されそうになったり、封印したと思ったが実はまだ…とかなかなか怖い内容だった。
でも、実は密かに下心があったりして。こういう場合、女の子が驚いて男の腕にギュっとしがみつくなんてシチュエーションってお約束だもんな。
でも、真澄ちゃん大人しいな。
俺は彼女の方を見る。
ありゃ? けっこう楽しそうに見入っちゃてるよ。
こういうの弱いタイプだと思ったんだけどなぁ。
「なかなか面白かったですよね」
「あ、ああ」
映画が終わってシアターを出た俺達はデパートの中を出口へと歩く。
う〜ん、ラストシーンは俺の方が彼女に抱きつきそうになったよ…。
「真澄ちゃんってこういうの平気なんだ」
「は、はい。っていうより好きかも。ちょっと違うけどオカルト系ってけっこう興味ありますから。ホラー小説とか、そこそこ読みますからね」
…納得。そう言われて見ればそういうの好きそうなタイプではあるよな。
「でも、最後がいまいちでしたよね。インディアンの青年が実は悪霊本体だったなんていまいち露骨過ぎて幻滅って思いました。でも取り憑かれた主人公の恋人が髪の毛さがだて目が光って殺してやるって迫る所はなかなかのものでしたけど」
「……」
な、なんだかな〜。
でも意外な一面だったなぁ。いつもおろおろしている感じがする彼女なのに、こういう事には強かったなんて、ちょっと驚きだ
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