「悪い。俺そんなのって嫌いだから」
「え?」
「今も言ったみたいに俺が好きなのは真澄ちゃんなのです。俺こういういい加減な事、嫌だから」
「…そう…」
俯いて何も言わない由希子さん。
あちゃ…傷つけちゃったかな?
「いや、由希子さんが嫌いとか魅力がないとかいうことじゃないですよ。俺は…」
突然、由希子さんの手がポンポンと2回、俺の背中をたたく。
「えらい! なかなか言えたもんじゃないよ、今の台詞」
顔を上げて嬉しそうに言った。俺は思わず目が点になる。
「最近の男って浮気とか二股とか平気な奴多いのよね。ドラマとかマスコミとかの影響なんだろうけどサ。相手がどれだけ傷つくかも知らずに。浮気出来る程度の気持ちで恋愛なんてすべきじゃないっていうのが私の考え。でも宇佐美君は大丈夫そうね」
「俺を試したのですか?」
少し怒った口調で言う俺。
「ごめんね〜。でも私は真澄を傷つけたくないの。いい加減な奴とつき合わせたくない。あの娘はあんなんだから、なかなか人を疑う事が出来ないし好きになったら一途だから」
「由希子さん。真澄ちゃんは俺の事…?」
「さあね。それは本人に聞かなきゃいけない事なんじゃない? ま、これで心おぎなく応援できるって訳ね」
「応援?」
「そ。わたしもいろいろ援護射撃してあげるから、頑張ってね。宇佐美君」
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