「うわぁ」
俺は思わず由希子さんの手をふりほどいて、彼女の側から離れた。
「何よ。取って食べはしないわよ。そんなに避けなくったていいじゃない」
再び俺の側に寄ってくる由希子さん。
「だから、俺は、真澄ちゃんの事が」
「あら、あたしじゃ、役不足?」
「そういう問題じゃぁ…」
「ねぇ」
彼女が俺の顔をのぞき込む。俺は思わず目を反らした。
「だから駄目だって」
「ちょっと」
逸らした先に回り込んでくる由希子さん。
「本当に困りますよ」
「ふむ。じゃぁ、このくらいで止めときますか」
「え?」
「いい加減な気持ちじゃないみたいね」
「そ、そりゃそうですよ。あ! もしかして俺を試した?」
「えへへ……ごめんね。いい加減な人を真澄に薦められないもん。わたしは宇佐美君の事、よく知らない訳だし、無責任に応援するのってよくないでしょ?」
「応援?」
「そ。あの娘ってああだから、なかなか男の子と仲良くなれないのよね。従姉妹のあたしとしちゃぁ、心配な訳よ」
「……」
「宇佐美君なら真澄をまかせられるかな。まぁ、あたしがなんとかしてあげるから、君は君で頑張ってね」
そう言って俺の背中をたたく由希子さん。
う〜ん、願ってもない事だけど、大丈夫かなぁ…。
|