海だぁ〜!!
更衣室があるビジターセンターから外に出て、俺は思わず足を止めてしまう。青々とした眩しさに目を細めて、海を眺める。
俺は内陸の方に住んでいるせいか、いつ来ても海を見ると心動かされる。
空の青、遠くの雲、くだける白い波、水しぶき。
どこまでも続く砂浜、壮大で美しい海の景色。
生命は海から誕生したというが、この胸に蘇る懐かしさにも似たときめきが、それを証明してるのかもしれない。
俺は姉貴夫婦と共に海水浴場にに来た。ここは近郊では一番綺麗な海岸として有名な天乃白浜海水浴場。三本松町がいま一番力をいれているリゾート化計画にのっとて第三セクターのシーサイドパーク株式会社が管理している。
設備が整っていてシーサイドパーク・天之白浜ビジターセンターには更衣室、温水シャワーはもちろん、仮眠室、売店、レストラン、カフェテラス、イベントステージ等豪華版海の家を誇っている。
設備が整ってる割には料金は手頃。俺のような高校生の小遣いでも、更衣室使用料だけならそれほど負担にならない料金だ。
ちなみに砂浜の方は施設を利用しなくても入れるが、ほとんどの海水浴客がビジターセンターを利用しているらしい。
それにしても、今日は海の日だけあってけっこう人が来てるなぁ。
「ボ〜としてないで荷物を持つ!ほら、康太郎が先に場所取りしてるはずだから探せよ!」
「え?ああ」
いつの間にかやってきた姉貴が俺に荷物を押しつける。姉貴はちょっとハイレグの入った青のワンピースの水着を着ている。昔はもっと派手なのを好んで着ていたみたいだが、結婚して少しは落ち着いたみたいだなぁ。
康太郎義兄さんさんはすぐに見つかった。ビジターセンターから少し離れてはいるがけっこういい場所だ。ビーチパラソルを建ててシートを敷いて俺達を待っていた。義兄さんは着替えないで先に準備をしていたのだった。
「じゃぁ、僕も着替えて来るよ。帰ってくるまで待っていてくれよ」
「当然じゃない。実の弟と遊んでも面白くないしね」
悪かったね。それはお互い様だ。……と俺は姉貴に心の中で文句を言った。
|